GEORGE McCRAE
TKを代表する男はいまも健在だ!

 TKを代表する男性ソロ・シンガーとして、ラティモアと並んで名が挙がるのがジョージ・マクレーだ。リズムボックスのイントロから心躍る74年の大ヒット“Rock Your Baby”でディスコ・シンガーというイメージが定着したが、そのキャリアは長い。1944年にフロリダ州で生まれた彼は、まずジヴィン・ジェッツというグループで活動。その後、海軍時代に知り合ったグウェン(・マクレー)と63年に結婚し、地元のクラブでデュオとして活動するうちにヘンリー・ストーンらに見初められてアルストンと契約している。が、70年前後にデュオでのシングルは売れず、ソロとして地道に活動を続けるなかでようやくヒットしたのが“Rock Your Baby”だった。テナー・ヴォイスが軽快なディスコ・サウンドとマッチしたのだろう。同名のアルバム(74年)と続くセルフ・タイトル作(75年)は、当時波に乗るKCアンド・ザ・サンシャイン・バンドのバックアップで、自身の絶頂期をTKの黄金期と共に迎えた。

GEORGE McCRAE Love Popmi(2016)

 75年にはグウェンとのデュオ盤『Together』も発表。クラレンス・リードらの制作で、ふたりのディープな資質を活かした快作だったが、離婚問題もあってか、76年の『Diamond Touch』では心機一転、グレッグ・ダイアモンドと組んでNYディスコの風を浴びる。以降はカナダへの移住やレーベル移籍を経て、ディスコ・イメージを求められながらヨーロッパを中心に活動を続けていった。が、80年代に居を構えたオランダで録音した今回の新作『Love』では、自身のディープな側面も意識しつつ往年のTKグルーヴを再現。R&Bシンガーである娘のリーアとソフィアを従え、持ち前の高い声で余裕たっぷりに歌う71歳は、まだまだ枯れちゃいない。 *林 剛