片想いの多様性を解体してみると……バンドの過去作とメンバーの別プロジェクトを紹介!
約10年の活動を経て発表された初アルバム。新作よりもサウンドは未整理でユルさが際立つが、そこが愛おしい。“Daily Disco”のファンクネス、“ひかりの名からこんにちわ”の染み入るメロディー、“踊る理由”のわけもわからず泣きたくなる感……ここには彼らのマジカルな魅力が美しく息づいている。 *澤田
片想いとホライズン山下宅配便のメンバーを中心としたコンピ。片想いによるニューオーリンズ風味の“ニーオンザベリー”、カタオモロ名義のオリエンタル歌謡“雨ふる夜に”、片岡シンのユニット=シンクロがシュールに歌う“鈴木隆弘”など、ここでしか聴けない楽曲ばかりをたっぷり収録している。 *澤田
MC.Sirafuが中核を担う4人組。センティメンタルな叙情性は片想いと共通するが、こちらはよりソング・オリエンテッドな志向性のバンドと位置付けられそう。リリースされたばかりのこのニュー・アルバムは、これまで以上にパワフルなリズムを獲得した印象で、その点において、片想いの新作との共振も感じる。 *澤田
MC.Sirafuと、ザ・なつやすみバンドのメンバーでもある中川理沙によるデュオ。ピアノとスティールパン、そして素直な歌声だけによる流麗なアンサンブルは、素朴でありながら雄弁。神戸のグッゲンハイム邸での録音も功を奏した本作では、静謐さのなかでまどろむ凪いだ空気までを捕えたピュアな音世界を堪能できる。 *土田
片想いのドラムス&歌を担う男のソロ作。多様なサウンドを吸収したロマンティックなポップソングが展開されている。が、その音世界は当人の脳内に広がるヴィジョンを描き出したような趣で、片想いのパーティー感とは真逆の〈ぼっち〉感も強く表出しているような。そこがいちばんの魅力かもしれない。 *澤田
片想いのサックス奏者=遠藤里美のリーダー・バンドで、ここではアコーディオンも担当。ほかにフルートやオーボエ、チューバ、チェロという編成をベースとする6人組だ。本作ではもともと志向していた(が、そうならなかった)タンゴやジャズなどを交えつつ、街の楽団然とした長閑で愛嬌のあるチェンバーなインストを奏でている。 *土田
片想いのベーシスト(ホライズン山下宅配便ではギタリスト)の初ソロ・アルバムだが、ここではドラムや鍵盤、歌/コーラスまで自身で担当。フォーク~ブルース~ソフト・ロックなどを基調としたアコースティックな響きを背に、滋味深い歌声がじわりと沁み渡る。録音にはSwimmingpoo1の阿部共成のクレジットも。 *土田
伴瀬朝彦が在籍する4人組の唯一のアルバム。メイヨ・トンプソンを引き合いに出したくなるスカスカでストレンジにねじれまくったバンド・アンサンブルはどこまでも謎めいているが、そこに乗るすっとぼけたヴォーカルが、妙な人懐っこさと可笑しみを作品に与えている。残念ながら昨年末に活動休止。 *澤田