いまが旬、いまでも旬、ずっと旬――3人が選ぶ、いわゆるひとつのマイ・スタンダードな銀盤

 

笠井快樹(ドラムス)

 THE YELLOW MONKEYは、高校時代から大好きでずっとコピー・バンドをやってたんですけど、『8』(再集結前のラスト作)というアルバムだけあまり聴いてなかったんです。それが、今回のツアーを観に行ったら、このアルバムから結構やってて。それまでのイエモンの作品と比べて異質な感触のアルバムで、当時はそれがしっくりこなかったんですけど、最近は〈めちゃカッコイイ!〉って聴き直してます。

 さかいゆうさんは、“薔薇とローズ”という曲をTVのCMで知って、そこからアルバムを聴くようになったんですけど、『How's it going?』に入っている“君と僕の挽歌”(シングルとしてもリリース)っていう曲がめちゃくちゃ好きなんです。Aメロからサビみたいな曲で、このあとどうなるんだろう?と思ったら予想を越える素晴らしいサビがくるという。キャッチーでノリの良い曲も書けて、さらにバラードがいいねって言われる人ってすごいなって思いますし、そういうアーティストには憧れますね。

 自分が初めてバンド・サウンドに触れたのが、ユニコーンの『服部』です。バンドって音も曲もめちゃくちゃだなと感じたけど、当時の自分はそのパワーにすごくハマって、結果、バンドってカッコイイなと思いました。自分たちのアルバムにはいろいろなタイプの曲を入れたいという思いが常にあるのですが、それはこのアルバムと出会ったからだと思います。

 

秋野温(ヴォーカル/ギター)

 中学校の終わりあたりからバンドを始めて、友達に勧められて聴いたのが、THE YELLOW MONKEYの〈act I〉っていうベストで。それを聴くと、中3ぐらいの想い出が甦りますね。ギターを一所懸命練習して、そこからずっとイエモンを追い掛けてたので、ギター弾きとしての自分のバイブルではありますね。

 高校時代、ロックの視野をどんどん広げていって、ある時期、ハード・ロックとは何だろう?みたいになって買ったのがディープ・パープルの『Machine Head』だったんですが、当時の自分にはすごくショボく感じたんです(笑)。でも、ロック史における名盤なわけじゃないですか。だから、理解しようとして一所懸命聴いてました。スコアも買って練習するんですけど、リッチー・ブラックモアのギターはフィーリングで弾いてるようなものだから、なかなか真似できないんですよね。

 がCDを出しはじめた頃、ホッピー神山さんにプロデュースしてもらってたんですけど、そのときに〈3ピースバンドだったらこれ聴きなよ〉っていただいたのが、リック・デリンジャーのベスト盤。以来、お手本として参考にしてます。なんでもかんでも入ってる賑やかな音でもなく、シンプルだけどバンドっぽい。当時はなんとなく聴いてたのが、だんだん〈これすげえイイ、すげえイイ!〉って、いまだに大好きなアーティストとして君臨してます。

 

神田雄一朗(ベース)

 僕ら高校の3年間、イエモンのコピー・バンドをやってたんで、そんじょそこらのイエモン好きではないんですよ(笑)。直接的にいまの鶴に影響が出てるかって言われるとそうでもないと思うんですけど、個々のプレイにはコピー・バンド時代に覚えたクセみたいなのが残っていたりしますね。再集結のツアーは3人で観に行ったんですけど、それ以降、バンドの調子がイイです(笑)。

 最近、イエモンのEMMA(菊地英昭)さんとバンド(brainchild's)をやらせていただく機会があって、そのときにたまたまMCハマーの話になったんですけど、“U Can't Touch This”カッコイイすよねって言ったら、EMMAさんが〈それってリック・ジェイムズの“Super Freak”じゃないの?〉って。それでこっちが元祖かってことを知って、アルバムを聴き漁りはじめたんです。最近の鶴は、それこそ〈塊で音を出したい〉っていうのがあって、そこをめざしていくところでこの時代のキュッと締まった低音感みたいなところは参考にしてたりしますね。

 昔から仲良くしてるセカイイチの新しいアルバムが、最近の神田家では再生率トップです。昔ながらのファンクな音も好きなんですけど、現代の、それこそブルーノ・マーズみたいな人も好きで、たぶん、(岩崎)慧くんはそこに影響されたんだろうなって。もしかしたら〈何かっぽいよね?〉とか言われてるのかもしれないけど、そういうのを超えてカッコイイ。