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ワルキューレ
圧倒的な5つの歌声が仕掛ける魅惑のトラップ!

 ロボットSFを代表する作品のひとつ〈マクロス〉シリーズと言えば、毎回〈歌〉がテーマとなることで知られる。例えば、初代の「超時空要塞マクロス」(82年)では飯島真里、「マクロスF」(2008年)ではMay'n中島愛が主題歌や劇中曲で注目され、後の歌手活動へと繋げていった。そして2016年、シリーズ最新作「マクロスΔ」に〈銀河系最強の戦術音楽ユニット〉として登場するワルキューレもまた、時空も次元も超えたスターの道を駆け上がっている。

 このワルキューレは、フレイア役の鈴木みのり、カナメ役の安野希世乃、マキナ役の西田望見、レイナ役の東山奈央という各キャラの声を演じる声優と、美雲の歌唱パートを担当する歌手のJUNNA(まだ15歳!)から成る5人組。今年4月のアニメ放送開始以降はシングル2枚とファースト・アルバム『Walkure Attack!』を発表し、いずれもオリコン週間TOP10入りのヒットを記録。2017年1月には横浜アリーナ公演の開催も決まったばかりだ。

ワルキューレ Walkure Trap! flying DOG(2016)

 そんななかで早くも届けられるセカンド・アルバム『Walkure Trap!』は、歌謡テイストのメロディーと未来的フォルムのサウンド、そして5人の圧倒的なヴォーカル・フォーメーションという魅力が高度に絡み合った、尋常ならざるテンションの作品になっている。ラスマス・フェイバーらしい爽快な歌ものハウスや、暑苦しいメロディーがクセになる堂島孝平提供の“涙目爆発音”など、作家陣も前作に増して多彩かつ豪華。ギャルっぽさ全開なマキナのソロ曲“おにゃの子☆girl”ではかせきさいだぁによる技アリな歌詞とTeddyLoid製のエレクトロ・ポップという組み合わせが堪能できるし、レイナのソロ曲“Silent Hacker”は本編の劇伴にも携わる鈴木さえ子(とTOMISIRO)のプログレ趣味が覗くハイパー・テクノ・ポップでヤバい!

 また、各キャストの歌唱力もハイレヴェル。特にJUNNAの太く朗々とした歌声は分厚いサウンドにも負けない存在感があって、どこかリアーナAimerを 思い出したり。そして、本編のヒロインでもあるフレイア役の鈴木みのり。彼女の歌声には溌剌としたなかにも切なさの滲む瞬間が多々あって、それは人間より 短命な種族なのに人間の主人公に恋をしてしまったフレイアの感情を見事に表現したものと言えるだろう。そういった設定を踏まえたうえでフレイアのソロ曲 “God Bless You”を聴くと、いっそう感動的なラヴソングとして響くはず。物語と連動してさまざまな仕掛けの施された歌姫たちのトラップに、ぜひハマってほしい。* 北野 創