DISCOGRAPHIC GREEN DAY
グリーン・デイを知るための12枚

GREEN DAY 1,039/Smoothed Out Slappy Hours Lookout!(1991)

90年のファースト・アルバム『39/Smooth』に前後のEP他を加えた全19曲は、ローカル・バンド時代をそのまま捉えた貴重なドキュメントだ。方向性が定まっていない拙さと受け取るか、ポップ・パンク以外の可能性もあったと考えるか。それによってルースな作風の評価は変わるだろう。ドラマーは前任のジョン・キフメイヤー。インディー然としたサウンドのファンは少なくない。 *山口

 

GREEN DAY Dookie Reprise(1994)

インディー時代から閃かせていたキャッチーなメロディーを、ロブ・カヴァロのプロデュースの元で〈ポップ・パンク〉という意匠に落とし込んだメジャーから初アルバム。“Basket Case”をはじめ、その後も演奏し続ける代表曲もここで生まれた。新時代のパンク・ロックの雛型になると同時に、ロックをいま一度、若者の手に取り戻したという意味でも重要な一枚。 *山口

 

GREEN DAY Warning Reprise(2000)

前作『Nimrod』(97年)で挑みはじめた脱ポップ・パンク志向が結実したセルフ・プロデュース作。フォーク/カントリーも含むトラディショナルなアメリカン・ロック・サウンドは音楽面のみならず、精神面におけるバンドの成長もアピール。その成熟はリリース当時、ファンを驚かせたが、巨大になりすぎた自分たちのイメージを変えるには、それだけ大胆になる必要があった *山口

 

GREEN DAY American Idiot Reprise(2004)

『Warning』以降のさらなる成熟を、ハードコアからバラードまでの多彩な楽曲から鳴る前代未聞のパンク・ロック・オペラとして表現した一枚。これまで以上にアグレッシヴな作品だったにもかかわらず、米英で初のNo.1ヒットに。グラミーの〈最優秀ロック・アルバム〉部門も受賞した。ロック・シーンの頂点を極めた彼らは、メジャー・デビューから10年目に新たなリスナーを獲得。 *山口

 

FOXBORO HOT TUBS Stop Drop And Roll!!! Warner Bros.(2008)

『American Idiot』の特大ヒットののち、バンド内のガス抜き的な役割を果たした覆面バンドによる唯一のアルバム。名曲“Mother Mary”を聴けばわかるが、気合いとは無縁の軽快な演奏が心地良い。ほかにはキンクス風味の“Alligator”のように60sのガレージ・ロックに倣った曲調が多く、チープな鍵盤も郷愁を誘う。 *荒金

 

GREEN DAY 21st Century Breakdown Reprise(2009)

『American Idiot』に継ぐパンク・オペラ作品の第2弾。二人の若者を主人公に据えたストーリー仕立ての3部構成だが、3~4分台のコンパクトな楽曲でテンポ良く聴かせる。壮大なバラード“Last Night On Earth”、ビリーの裏声にシビれる“21 Guns”など、メロディー重視の佳曲が並ぶ大名盤だ。本作も、グラミーの〈最優秀ロック・アルバム〉を獲得。 *荒金

 

PINHEAD GUNPOWDER Kick Over The Traces Recess(2009)

ビリーがイーストベイ・パンクの代表格、クリンプシュラインアーロン・コメットバスと91年に結成したサイド・プロジェクト。本作は、2009年までの5枚のフル・アルバムと6枚のEPから厳選した2枚組のベスト盤だ。粗削りでガツガツ攻める1~2分台の直情パンクは、インディー時代のグリーン・デイを彷彿とさせる。Disc-2は貴重なライヴ音源で、録音状態もいい。 *荒金

 

American Idiot: The Original Broadway Cast Recording Reprise(2010)

『21st Century Breakdown』からの4曲なども交え、2009年にミュージカル化された『American Idiot』。ビリーがプロデュースの本作は、その公演で使用された全22曲を収録したもの。24人のキャストによる多彩なヴォーカル・フォーメーションで紡がれるストーリーは、音だけでもとんでもなく感動的だ。こちらもグラミーで〈最優秀ミュージカル・ショウ・アルバム〉を受賞という快進撃! *土田

 

GREEN DAY !Uno! Reprise(2012)

GREEN DAY !Dos! Reprise(2012)

GREEN DAY !Tre! Reprise(2012)

2か月おきに3部作としてリリースされた3枚。前2作の『American Idiot』『21th Century Breakdown』が壮大なテーマを掲げた作品だっただけに、その反動もあったのだろう。本来の明るくエネルギッシュなグリーン・デイ流のパンク・サウンドを貫きながら、それまでに培った多様な音楽性も注入した作風だ。『!UNO!』は“Let Yourself Go”を筆頭に、簡潔明瞭に突っ走るパンキッシュな曲調がズラリと並ぶ。続く『!DOS!』は、モータウンロカビリー風のリズムを配し、女性ヴォーカルを迎えたラップ調の“Nightlife”、故エイミー・ワインハウスに捧げたエレキ弾き語りの“Amy”など自由度の高いアレンジも聴きどころ。ラストを飾る『!TRE!』は、冒頭と最後に壮大なバラード風の曲を配しつつ、疾走曲も備えており、作品トータルの流れを楽しめる。 *荒金

 

BILLIE JOE + NORAH Foreverly Reprise(2013)

ビリーとノラ・ジョーンズとのデュエット・アルバムは、エヴァリー・ブラザーズ『Songs Our Daddy Taught Us』を丸ごとカヴァーするという代物。組み合わせの意外性を吹き飛ばすノラとの息の合ったハーモニーのみならず、どこまでもジェントルで滋味深い歌声がとても新鮮。アメリカン・トラッドへのアプローチで、ビリーはヴォーカリストとしての成熟をアピールしてみせた。 *土田