Page 2 / 3 1ページ目から読む

普通のまま音楽するのが理想

 「このアルバムはホントに全部同じことしか言ってなくて、実は。何気ない風景、普通に生きてて見えること、考えることのなかに意味を見い出して、それがいいっていうアルバムだと思うんですけど、全体に統一感みたいなのを出したくてあえてやったというか、『生活日和』ってタイトルで並べた時にそんなイメージでした」。

 出来上がったアルバムを前に、彼の話はさらにこう続いた。

 「もっとバカみたいな曲とか作りたいし、音楽的にももっといろいろできたらいいと思うんですけど、作れないんですよね、まだ。NHKの『おかあさんといっしょ』みたいなので子どもたちが(音楽に合わせて)ぐるぐる回るじゃないですか。ああいうのをラップでやりたいんですよね、歌のお姉さんフィーチャリングで(笑)」。

 こうした発言は、以前のZORNからはとても想像できなかった。彼を昭和レコードに誘った般若がみずからエグゼクティヴ・プロデューサーとして全体のディレクションを手掛けた、加入第1弾の前々作『サードチルドレン』から約2年半。『The Downtown』を経て、彼はみずからの音楽を一人見定め、この『生活日和』に辿り着いた。迷いがなくなったアルバムの穏やかさは、いい意味で肩の力が抜けた彼の現在を映している。そしてそれは家族との幸せな日々が続く限り、今後の彼の音楽や活動スタンスへと引き継がれていくだろう。

 「最後は〈こち亀〉とか〈三丁目の夕日〉みたいに、〈いっつも同じだな、でもそれがいいよね、この人〉みたいになりたいなって。普通のまま音楽するのがいまの理想なんで、仮に武道館でライヴしても次の日は現場に出たいし。どっちかを取らなきゃいけない時が来るのかなと思うけど、現場の仕事も継ぎたいし、音楽でも成功したいし、このままいきたいなと思います」。

 

『生活日和』に参加したプロデューサーの作品を一部紹介。