リイシューに収穫の秋が来た

OTIS REDDING Complete And Unbelievable...The Otis Redding Dictionary Of Soul: Deluxe Edition Volt/Atlantic/Atlantic/ワーナー(2016)

 毎年のように同じようなことを言っておりますが、秋こそリイシューの実りが豊かに楽しめる季節です。で、好事家のみならず万人に秋の深まりをもたらすのは……まず、オーティス・レディングの66年作の50周年記念盤となる『Complete And Unbelievable...The Otis Redding Dictionary Of Soul: Deluxe Edition』(Volt/Atlantic/Rhino/ワーナー)を推薦。いわゆる〈ソウル辞典〉として知られる名盤のモノラル/ステレオをボートラ入りでセットにした2枚組で、大名曲“Fa-Fa-Fa-Fa-Fa(Sad Song)”や“My Lover's Prayer”や、“Day Tripper”“Try A Little Tenderness”の名カヴァーも収めた内容は問答無用のビッグ・Oが打ち立てた金字塔のひとつ。ソウル・ファンじゃなくてもアレなブツなので、持ってない人はこの機会に! なお、それに前後する『Live At The Whisky A Go Go』の6枚組完全版は、まあマニア向けではありますが。

 

SYREETA The Rita Wright Years: Rare Motown 1967-1970 Kent(2016)

 一方、スティーヴィー・ワンダーの奥様であったシリータリタ・ライト名義で残していた録音をまとめた『The Rita Wright Years: Rare Motown 1967-1970』(Kent)も未発表曲山盛りの注目盤。フリー・ソウル時代に日本で評価された彼女ですが、ここでは改めて60年代モータウンの贅沢な制作体制に震えていただきたいです。これは次月で大きく取り上げたい予定。

 

アダム・ホワイト,バーニー・エイルズ,アンドリュー・ルーグ・オールダム コンプリート・モータウン 河出書房新社(2016)

 で、リイシューではないですが……その帝国の歴史を元重役のバーニー・エイルズと元ビルボード編集長のアダム・ホワイトが正史として綴った「コンプリート・モータウン」(河出書房新社)は必携の一冊です。読書の秋ってことで! *出嶌孝次