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流浪を続けたピーターが現在の境地に至るまで

THE LIBERTINES Up The Bracket Rough Trade(2002)

ストロークス『Is This It』と並び、当時のシーンに単純明快なロックンロールへの回帰を促した記念碑的なデビュー作だ。若者ならではの焦燥感を、パンク的かつ性急な演奏とピーターのヒリヒリした歌で表現。プロデュースはミック・ジョーンズ!

 

THE LIBERTINES The Libertines Rough Trade(2004)

ピーターの薬物問題をきっかけにメンバー間で不和が生じていく時期に作られた2作目だが、その状態を逆手に取って全曲ライヴ・レコーディングを敢行。尋常じゃない緊張感が漲り、余計な装飾なんて一切ない剥き出しのロックが鳴っている。

 

BABYSHAMBLES Down In Albion Rough Trade(2005)

リバティーンズ脱退直後にピーターが始めたバンドの初作。レゲエもあればフォーキーなものもガレージ・ロックもあり、好き放題のカオティックな内容だが、どこを切っても強烈なロマンティシズムで溢れていて、妙な統一感があるから不思議。

 

BABYSHAMBLES Shotters Nation Parlophone(2007)

破滅的で混沌とした感覚が後退し、演奏はタイトに、ヘロヘロだったヴォーカルも驚くほどクリアに。パーマネントなバンドとして活動していこうとする意思が強く表れた2作目だ。バート・ヤンシュをゲストに招くなど、意外なルーツも垣間見える。

 

PETER DOHERTY Grace/Wastelands Virgin EMI(2009)

初のソロ・アルバムは全編アコースティックによるもの。彼の魅力とされてきたロックンロール・サウンドという本流からは外れるものの、グレアム・コクソンもサポートしたフォーク~カントリー系の簡素な演奏が、作曲家としての素晴らしさを浮き彫りに。

 

BABYSHAMBLES Sequel To The Prequel Parlophone(2013)

6年もの間隔を置いての3作目。クラッシュみたいなパンク・ナンバーなどで構成された前半と、酔いどれフォークな後半。英国の伝統に沿った湿度の高いメロディーを湛えながら、バンドとソロでの作品の架け橋的な作りになっていておもしろい。

 

THE LIBERTINES Anthems For Doomed Youth Virgin EMI/ユニバーサル(2015)

個々にキャリアを積んできたピーターとカール・バラーが再合体。往時の勢い任せな感じはなくなり、ノスタルジックなピアノ・バラードなど時を経たからこそ作れた歌がここに。2人がはにかみながらヴォーカルを分け合う曲が多いのも良い。