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音楽と日常を繋いできたDJ OKAWARIの最近の動きは……

DJ OKAWARI Kaleidoscope Libyus(2011)

フィギュアスケート効果で認知を広げての3作目。それによって期待されたであろう美メロなピアノ・インスト路線は名曲“Flower Dance”などで応えつつ、ウータン・ファミリーのテキーサや韓国のウンサンといった濃厚な歌い口のシンガーを迎えることで、エモーショナルな魅力も強調している。

 

MARCUS D The Lone Wolf LP Absolute Zero(2015)

Nujabes周辺との絡みで日本でも馴染み深いシアトルのビートメイカーが、サブスタンシャルブルーら豪華MC陣と共に作り上げたメランコリックな佳作。OKAWARIはインスト曲“Nocti Luca”に参加し、琴のような音色もフィーチャーした明るい色調の音作りで作品に淡い光をもたらしている。

 

Y.A.S サンマイメ ZION(2016)

OKAWARIと同じく静岡を拠点に活動するラッパーの3作目では、“ラストダンス”のトラックを担当。全体的に朗らかで風通しの良いアルバムだが、同曲では穏やかなトーンの切々としたサウンドに乗せ、自省の念も込めた棘のあるリリックで冷めた世を憂う。美しくも儚い一曲だ。

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ZORN 生活日和 昭和レコード(2016)

ZORNの〈日常〉路線を決定付けた前作『The Downtown』収録の“My Life”に続き、その方向性を前面に押し出した最新作では“Brand New Day”のビートを提供。エレピの揺らぎが郷愁を誘うなか、主役の〈止まない雨はない〉〈明けない夜はない〉というラインが聴き手の背中を押す、またもやの名曲だ。

 

GADORO 四畳半 SUNART(2017)

「フリースタイルダンジョン」への出演で注目を集めた宮崎のMCが新年早々に放つ初フル・アルバムを、OKAWARIはシリアスな響きのピアノ・ループが印象深い“灯火”で援護。厳しい現実に直面しながらも夢を掴まんともがく――そんななかで生まれた赤々と燃える言葉たちをドラマティックに演出している。