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ジャケット写真はアルバムのサウンドトラック

――有島さんから見て、タイコウさんの写真の魅力はどんなものだと思いますか?

有島「タイコウさんが撮っている写真って幅広いじゃないですか。ロックなライヴ写真や、アーティスティックな写真も撮られるということは知っていたので、今回も全幅の信頼を置いてお願いしました」

タイコウ「1年ぐらい前にやった写真展〈謎はすべて解けたりしない〉も来てくれていたんだよね。僕自身も今回の撮影はすごく楽しい仕事でした。さっきも言ったように、僕の写真の撮り方はコレちゃんの音楽の作り方と似ているところがあると思うんです。僕はロック・バンドのライヴ写真も撮るし、プロレスラーや女の子の写真も撮りますけど、自分の好みだけではなく、毎回〈この人はこんなふうに撮りたい〉とさまざまなチャンネルがあって、自分はこういう作風だとひとつのテイストに縛られないというか。いろんなことがやりたいタイプなんです。それは結局、多様な音楽や映画が好きなことと一緒なんですよ。ティム・ハーディンが聴きたいときもあれば、ストーンズが聴きたいときもあるというのと同じで」

――なるほど。ではタイコウさんから見て、被写体としての有島さんの魅力とは?

イコウ「2千万パワーのスーパー・ヒーローですね(笑)。コレちゃんは色っぽいし二枚目じゃないですか。でも、見た目だけじゃなくて、その佇まいや内面から出てくるものが格好良い。僕はそういう人に惹かれるんです。コレちゃんがいたらもうハマるという絵が見える。僕がイメージするシーンに出てくる人物なんですよ。今回のアートワークの写真は、作品に対する僕なりのサウンドトラックになっているような気がします」

有島「ああ、サウンドトラックという言葉はすごく腑に落ちますね。

タイコウ「もちろん、コレちゃんの作品なんですけどね(笑)。『S P A C E』は本当にいい作品だと思うんですよ。コレちゃん自身、出し切った感もあるんじゃない?」

有島「そうですね。前作『PLANKTON』はアルバムを作るために曲を書いたわけではなくて、すでに出来ていた楽曲のアーカイヴ的な作品だったんですよ。でも、今回はアルバムを作ろうと思って一から制作したものだったので」

★『PLANKTON』リリース時のインタヴューはこちら

2015年作『PLANKTON』収録曲“Sigh”
 

タイコウ「コレちゃんの気持ちや感覚のようなものがすごく入っているよね」

――前作を作ったことで、今回のようなアルバムが出来た部分もあると思いますか?

有島「そうですね。(前作を作ったことで)作品をリリースできる環境を与えてもらって、〈出すために作る〉という意識を持って作っていったので。そこは本当に、全然違ったと思います」

――arko lemmingの世界観も広がってきているというか。

有島「前作は意図的に(やりたいことを)絞った部分があったので、今回のほうが自然体という感じですね。今回はライヴでの再現性も無視しているし、開き直った感があるんですよ(笑)」

――いろいろなプロジェクトに参加している有島さんにとって、arko lemmingはどんな立ち位置になってきているのでしょう?

有島「さっきのタイコウさんの話がすごくしっくりきたんですけど、僕はどの活動でも手は抜いていないし、どれも好きなことで、それぞれに自分がやりたいことができている。そしてarko lemmingは、単純に僕一人でできることを表現するプロジェクトというだけの違いですね」

――確かに、今回の『S P A C E』という作品は、有島さんの別の活動では形にならないような音楽性になっていて、〈これが本当の自分だ〉というよりも、有島さんのやりたいことの1つだと感じました。ほかのプロジェクトと併せて楽しんでもらえば、有島さんの姿がわかるということなのかもしれませんね。では、ソロ・プロジェクト以外の活動で経験したことが、arko lemmingに還元される部分もありますか?

有島「意識の部分ではすごく大きいんじゃないかと思います」

タイコウ「いろんな人と会うことになるわけだしね」

有島「そうですね。そういう意味では全員に影響を受けていますが、たとえば0.8秒と衝撃。の塔山忠臣も一人で作り込むタイプだし、志磨くんも〈次はこうしようと思う〉というコンセプトの話なんかを聞いたりして、勝手にライヴァルとしても見ているというか。そうやっていろんな人のやり方を見られるのはすごくおもしろいですね」

0.8秒と衝撃。の2015年作『破壊POP』収録曲“虹色の言葉”
 

――では最後に、お互いに自分の表現の際に大切にしていることを教えてください。

有島「僕は〈ポップさ〉なのかもしれないですね。それがなぜなのか上手く説明するのは難しいですけど……音楽の原体験が実はSMAPだったりするので。『SMAP×SMAP』の最終回も観たんですけど、あれは結構喰らいましたね」

タイコウ「まさかそれで木村くんや中居くんと年齢が同じ僕が今日呼ばれた(笑)? 僕は〈情緒〉ですね。iPhoneで撮ろうと、どんな良いカメラで撮ろうと、情緒が大事。テクニックを抜きにして、何か感情が立ち上ってくるものというか、結局その人となりを見ていますね」

有島「ああ、人間味ですよね。それはすごくわかります」

タイコウ「例え打ち込みの音楽でも、人間味が感じられるものはあると思いますし、単純に生演奏だったりアコギを使っているから(ある)ということでは全然ないですよね」

有島「そうそう。〈何でこの音なん?〉という部分に人間性が出ることもあるし」

タイコウ「音楽を聴いていても、〈この人は自分がすごく好きなあの景色や、あの季節を好きな人なんじゃないかな〉といったことを感じる瞬間があると思うんですよね。コレちゃんは僕にとって特にそういうものを感じられる人なんですよ」

 


arko lemmingのライヴ・スケジュール

1月17日 (火) 東京・下北沢SHELTER
共演:asayake no ato関取花突然少年 and more

1月19日(木)名古屋・池下CLUB UPSET
〈NEXTO中日本2017”supported by @FM「ROCK YOU!」DAY1〉

1月26日(木)東京・渋谷O-nest
〈exPoP!!!!!vol.93〉

1月31日(火)東京・新宿SAMURAI
〈サムライドライブ〉
共演:上里洋志Half-Life)、四本拓也スズメーズ

2月18日(土)浜松・G-SIDE
〈MINDJIVE Vol.14〉
共演:skillkills突然少年THE WEMMER

2月19日(日)名古屋・栄spazio-rita
〈arko lemming meets 珠麟-しゅりん-〉
共演:珠麟-しゅりん-