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ショーンの愛されポイント

(1)動画サイトから世界へ

 自身もYouTube経由でブレイクしたジャスティン・ビーバーに発見され、そこから日の目を見た人は、オースティン・マホーンコナー・メイナードら過去にも存在。そのオースティンの前座を務めたヴァンプスもまた、同じ経緯でレコード契約を果たしています。〈動画サイト発〉自体は珍しくないですが、ディズニー映画の主題歌を任されたアレッシア・カーラ(カナダ出身!)ほか、驚きの出世劇を見せてくれる人が稀に現れるので、〈第2のジャスティン〉探しはやめられません!

 

(2)花の98年生まれ

 デイヤLittle Glee Monster(の3人)、ぼくのりりっくのぼうよみなど昨年から今年にかけてショーンとタメの98年生まれが音楽業界で大活躍。BBCの〈Sound Of 2017〉にも98年組からデクラン・マッケンナデイヴが選出されていました。思えばテイラー・スウィフトが『Fearless』で化けたのも、ジェイク・バグがデビューしたのも、彼らと同じ年齢の頃。子どもでも大人でもない、この時期特有の刹那な輝きに人々は惹かれてしまうのでしょう。

 

(3)魅惑のギター美男子

 囁き&ファルセット混じりの程良くスモーキーな歌声で甘味や色気を出し、ブルージーなギター・ソロで塩気も足す――『Illuminate』内でもとりわけ冒頭曲や“Three Empty Words”には、ジョン・メイヤーの影響が色濃く表れています。同様の手口で女性を骨抜きにするシンガー・ソングライターは現行シーンに意外と多く、ガブリエル・タジューパッセンジャーアンディ・グラマーあたりがその常習犯。南ブルターニュ大学の研究によると、ギターを持った男性は数割増しでカッコ良く見えるらしく、私たちが彼らに惹かれてしまうのも抗えない運命っぽいです。

 

(4)ジェイク・ゴスリングの魔法

 UK出身のジェイク・ゴスリングは2007年からエド・シーラン(当時17歳)とチームを組み、彼と二人三脚で成功を掴んだプロデューサーです。駆け出しの頃にはミニストリー・オブ・サウンド360周辺で録音技術を学び(なので、デビュー前のエドはグライム勢とよく絡んでいた!)、エドのブレイク以降は生音ソウル・ポップ職人というイメージが定着。バーディパロマ・フェイスらの作品で腕を振るってきました。

 もちろんエドとのコンビでもヒットを量産し続け、なかでもワン・ダイレクション仕事は音楽史に太字で刻まれるものに(ちなみに、テディ・ガイガーともすでに1D盤で顔合わせ済み)。フォーキーだけど枯れた感じにはならず、爽やかさが前に出た『Illuminate』は、ジェイクの本領発揮とも言える一枚なのです。

 

(5)共感できるリリック

 ブレイク前にアップしたショーンのカヴァー動画はリアーナラナ・デル・レイアデルらの悲しい恋歌が多く、そこに作詞面でのルーツを見る思い。〈失恋ソングの女王〉ことテイラー・スウィフトが彼の才能を絶賛しているのも頷けます。最近では色っぽい噂も増えてきたショーンだけに、実体験から閃きを得て今後ますます共感度の高い曲を作ってくれそう、テイラーみたいにね。