〈シューゲイザーの始祖〉はどのようなサウンドと共にキャリアを築いてきたのか?
シューゲイザーの歴史はここから始まった! 繊細なヴォーカルと甘いメロディーに少しだけ油断した次の瞬間、荒々しいギター・ノイズが襲い掛かり、そのままカラダ丸ごと持っていかれてしまう危険な処女作だ。仄かに漂うガレージ臭は、本作にのみ参加しているボビー・ギレスピーの影響か!?
初作での成功後に訪れた喧騒を振り払うべく、次にバンドが鳴らしたのは60sサイケ感溢れるミディアム中心のギター・ポップ。フィードバック・ノイズを排除することで、痛々しいほど内省的な歌詞と美しい旋律の魅力がダイレクトに伝わってくる。以前と同じことはやらないという頑な姿勢もまたロック!
後にマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやライドを手掛けるアラン・モルダーをエンジニアに迎え、全編でドラムマシーンを導入した3作目だ。暗い土地から抜け出して表情は明るくなり、ノイズが復活しているものの、初作のような凶暴さ/冷めたさは皆無。〈みんなで盛り上がろう〉みたいな開けた印象さえ受ける。
90年代に突入し、シューゲ人気が本格化していくなか、それまでのキャリアを凝縮したようなこの4作目で後進との違いをアピール。のっけから〈死にたい〉とわめき散らし、それを轟音ギターで煽っていく作りはもはや職人芸の域だ。前作よりもテンポアップしてダンス欲を掻き立てる打ち込みのビートが最高!
多くのファンを困惑させた5作目。レイドバックしたアコギを演奏の中心に据え、囁き声で狂乱の後の空虚さを演出している。評価の低い一枚ではあるが、ホープ・サンドヴァルとの共演曲ほか、枯れ切ったフォーク/カントリーの深い味わいはどうだ。〈ジザメリらしさ〉とかを考えずに聴いてほしい泣きの逸品。
日本公演も実現した『Psychocandy』のリリース30周年を祝うツアーから、グラスゴーでのギグを収めた一枚。2作目以降の人気曲もたっぷり披露し、しかも『Psychocandy』風のラフなアレンジで聴かせてくれるのだから太っ腹! 特に原曲の倍近い尺でノイズまみれに仕立てた“Reverence”がヤバイ!!
【ジーザス・アンド・メリー・チェイン『Damage And Joy』特集】
★ Pt.2