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永遠に継承されるジュニーの発明

 バンド時代の楽曲にジュニーが刻んだ〈らしさ〉はいずれも強烈なもので、オハイオ・プレイヤーズ時代の“Funky Worm”にせよ、ファンカデリック時代の“One Nation Under A Groove”や“(Not Just)Knee Deep”にせよ、そうでなくてもファンク国歌のような楽曲ばかりなので、代表的をサンプリング例を挙げていくだけでも紙幅は尽きてしまう。例えば“Funky Worm”のシンセはNWAの“Dope Man”やクリス・クロス“Jump”を経てGファンク固有の音色として定着したし、“(Not Just)Knee Deep”の人懐っこいビートはデ・ラ・ソウルのアレで、“Let's Play House”はデジタル・アンダーグラウンドのアレで……と、それ自体がリサイクル対象となる楽曲が多いのだ。なお、アシッド・ジャズ所属バンドのトウィステッド・タンは“Feelin' Junie Medley”なるメドレーでファンカの“Who Says A Funk Band Can't Play Rock?!”とオハイオの“Sleep Talk”を披露していて、これはクールな仕上がりだった。

 一方、今後さらに再評価が進みそうなのはソロ録音だろう。“Tight Rope”がディラ“So Far To Go”で使用されたり、カリーム・リギンスが“Spirit”をペーストしたり、通好みなリサイクルはもちろん前からあった。ただ、マッドリブも使った“Super Spirit”はソランジュ効果でさらに広まっただろうし、“Suzie Thundertussy”はカニエ&ケンドリックの“No More Parties In L.A.”で使用されたことでもっと注視されていくことだろう。そのスピリットは無限増殖していくのだ。 *出嶌