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新作にも繋がる真心のBACK PAGES

 インタヴュー中で引き合いに出されている95年の『KING OF ROCK』は、彼らにとって5枚目のアルバムであり、同時にデビュー時の〈THE 真心ブラザーズ〉から〈THE〉を取って心機一転した転換点の一枚であった。オリジナルの日本語詞によるボブ・ディラン“My Back Pages”のカヴァー“マイ・バック・ページ”がそこに収められていたことも考え合わせれば、このたびのニュー・アルバム『FLOW ON THE CLOUD』がふたりにとっての新たなターニング・ポイントとなるであろうことは言うまでもないのではないだろうか。

 と、そのように長いキャリアの過程で音楽性を広げたり絞ったりしてエッジーなカッコ良さを発揮してきた真心だが、残念ながら90年代のオリジナル・アルバムには現時点で入手が容易でないものも多い。ただ、初期の名曲“素晴らしきこの世界”(93年)をはじめ、“拝啓、ジョン・レノン”(96年)や“ENDLESS SUMMER NUDE”(97年)などのビッグ・チューン、活動休止からの復活曲“Dear, Summer Friend”(2005年)に至るまでの代表曲の数々は、20周年を記念して出されたベスト盤『GOODEST』(2009年)を入口として手軽に楽しむことができる。

 その後、OKAMOTO'Sやスカパラのメンバーらも招いた『Keep on traveling』(2012年)を挿み、デビュー25周年のタイミングで自分たちのレーベル=Do Thingを設立してからの活動はマイペースにしてさらに意欲的。オリジナル作『Do Sing』(2014年)、昭和の女性アイドル曲だけを取り上げた初のカヴァー・アルバム『PACK TO THE FUTURE』(2015年)と、遊び心と力強さに円熟味を兼ね備えた近作もそれぞれ必聴だ。

真心ブラザーズの作品を一部紹介。