やっぱり我流なORANGE RANGEの外仕事

 自身が在籍する別プロジェクトの他にも、ORANGE RANGEの面々は多数の外仕事に関与している。バンド自体で参加したRAM RIDER“HELLO”をはじめ、これまでにChara、PAGE、ALLY & DIAZなど各メンバーのシンガー/プレイヤーとしての客演作品もさまざまあるが、近年は楽曲提供のパターンがもっとも目立つ様子。特に、3人のヴォーカリストを擁するORANGE RANGEでの経験を活かしてか(?)、NAOTOがヴォーカル/コーラス・フォーメーションの重要なアクトを手掛ける場面がいくつか見られる。例えば、プロデュースを行ったDISH//“サイショの恋~モテたくて~”では、グループの持つコミカルな一面を歌の掛け合いやラップ、セリフに組み込んだいなたいバンド・サウンドを提示。ダサカッコ良さの塩梅が何とも絶妙な、濃ゆい一曲となっている。

 また、そうした方法論はアイドル勢とも相性が良く、でんぱ組.incへ贈ったハイテンションなオリエンタル・ポップ“NEO JAPONISM”、ゴシック+小室哲哉な音に詞も歌い出しから〈ヤーレンソーラン〉といったフックがてんこ盛りのももいろクローバーZ“カントリーローズ -時の旅人-”、バンドじゃないもん!のレイヴィーなシンセをまぶしたアッパーな歌謡ロック“夏のOh!バイブス”(こちらの歌詞はHIROKIが担当)など、トンデモ折衷ソングが目白押し。かと思えば、D-51に書き下ろしたベーシーなミディアム“逢えない”やFLOWのドラマティックなバラード“Good Days ~君を忘れない~”があったりと、どちらの方向へ転ぶかまったくわからない曲調こそがORANGE RANGE流と言えるのかも!? *土田真弓

文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。

 

IS and ISM SOMA/FOUR HEATHER GREY WALL/RUSH!(2013)

NAOTOとファッション/グラフィック・デザイナーの倉石一樹とのユニットによる6曲入りのEP。ツイン・ギターとドラムスのみで編まれた楽曲群は、全体として90sのUSオルタナを思わせるローファイな質感で、ミニマルな音作りだけにギター同士のメロディアスな掛け合いが際立つ。言葉はなくとも超フレンドリーな、肩の力の抜けた空気感が良い。

 

NaotoHiroki & Karatesystems Travel Sounds ポニーキャニオン(2013)

その名の通りにNAOTOとHIROKIから成るプロジェクトの初作は、〈ワールド・コラボレーション〉というテーマの元、リー・ペリーやタルヴィン・シン、アキル(ジュラシック5)、ナカコー、Azumi、上江洌清作……と、全曲に幅広いゲストを招聘。アジア~ラテン音楽を持ち前のミクスチャー感覚でポップスに落とし込んでいる。徐々にダビー&スモーキーな風合いを増す構成も◎。

 

RYO from ORANGE RANGE DELIGHT クラウン(2015)

シライシ紗トリのプロデュースによる、現時点では唯一のソロ・アルバム。ソウル~ファンク、ビッグバンド・ジャズやレゲエをベースとするオーガニックなグルーヴ上で、ラップ交じりのゴキゲンな歌が軽快なステップを踏む――そんな常夏度&テンション高めのオールド・スクールなダンス・ポップ集だ。私立恵比寿中学に提供した“夏だぜジョニー”のセルフ・カヴァーも。