さりげなく多作な西中島きなこワークスのあれこれを紹介!

 バンドやユニット活動を行ってきた西中島きなこがソロ・プロジェクトの音に敏感として自主レーベルのBINKANを立ち上げ、初のフィジカル作をリリースしたのは2015年。〈歌〉に寄ったスタジオ・ミックス作の『思春期』とリズミックな言葉遣いの宅録盤『日常』の2作を同時に送り出している。特有のユーモアを孕む作風はそこですでに確立されていたが、〈ミスiD2015〉で個人賞を受賞した祝茉莉との共同名義による同年の『混浴』は、また少々違ったテイストに。カントリー調や環境音楽風など、シンセの音は控えめなトラックに独り言のような言葉を浮かべた、日々の生活に溶け込むポエトリー盤となった。

『日常』収録曲“DISってE”
『日常』収録曲“QBハウス”

 そして、年明けの1月にはコンピ『音に敏感なコンピ』が到着。オジマサイリ(neco眠る/CASIOトルコ温泉)と足立大輔によるEMERALD FOURをはじめ、自身の楽曲以外にも音に敏感ライクな風合いのシンセ~テクノ・ポップをプレゼンすると、3月にはオリジナル作『ひなまつり』を発表。桃の節句のリリースらしく、こちらは井手ちよのなどの女声をフィーチャーした一枚に。また、2017年には西中島きなこ名義でタワレコ限定シングル『調和と恵み/MELLOW/春風の遊覧船』も登場。直前の配信ベストにも収録の2曲にアコースティックなアンビエント・ポップ“MELLOW”も加えた本作は、彼の音楽へのコンパクトな入門盤と言えるだろう。 *bounce編集部

『音に敏感なコンピ』収録曲“真夜中のスーパー”