エネルギッシュなヴェテラン・ロッカー

 〈生涯現役社会〉を掲げる安倍政権に先駆け、ロック界の大御所は元気にそれを実践。ニール・ヤングは弾き語りとバンド編成でそれぞれ新録盤を発表し、ボブ・ディランは3枚組のスタンダード集『Triplicate』でノーベル賞後の周囲の期待を痛快に裏切り、ロージャー・ウォーターズは25年ぶりのソロ作『Is This The Life We Really Want?』でピンク・フロイドのデビュー50周年をみずからお祝い。こんな超高齢化社会なら大歓迎!? *山西絵美

 

THE ROLLING STONES Blue & Lonesome Polydor/ユニバーサル(2016)

気分転換でセッションしたところ思いのほか盛り上がり、ブルース・カヴァー集を作ろうと急遽決定。その結果、自分たちのルーツに対する真摯な姿勢や尽きぬエネルギーなど、ストーンズの最良の部分が表出してしまったことに笑ってしまう。さあ、お次はオリジナル盤を頼むぞ! *桑原

 

RANDY NEWMAN Dark Matter Nonesuch(2017)

フリート・フォクシーズの移籍に沸いた2017年のノンサッチだが、御大の9年ぶりとなるオリジナル作品もお忘れなく。オペラ仕立ての大曲や美しいバラードなど、アイロニーとユーモアが交錯する冒険的な内容で、レニー・ワロンカーの関与も往年のバーバンク・サウンド好きを喜ばせた。 *桑原

 

THE ISLEY BROTHERS,SANTANA Power of Peace Legacy/ソニー(2017)

デビュー前からアイズレーズに心酔していたカルロスは、『Santana IV』(2016年)でロナルドを招いただけに飽き足らず、今度はアーニーも担ぎ出してこのコラボを実現。〈愛と平和〉をテーマに掲げ、マーヴィン・ゲイやインプレッションズの名曲に新たな息吹を吹き込んだ。 *桑原

 

JOHNNY MATHIS Johnny Mathis Sings The Great New American Songbook Columbia(2017)

ロッド・スチュワートの〈The Great American Songbook〉シリーズを仕掛けたクライヴ・デイヴィスが、2017年はこの米国ポピュラー音楽界のレジェンドと手合わせ。齢82とは信じ難いほどの艶っぽい声で歌われるファレルやブルーノ・マーズ曲が、掛け値なしに楽しかった! *桑原

 

細野晴臣 Vu Jà Dé スピードスター(2017)

最近のハリー先生のライフワークは、文化的に豊かだった時代への郷愁を形にすること。2枚組の本作はその到達点とも言える内容で、なかでも特別な妖気が漂うブギーやロカビリーのカヴァー群は最高だった。〈21世紀のホーギー・カーマイケル〉と表現したくなる小粋さが堪らない。*桑原