リイシューは甘い冬の舌触り

OLIVER CHEATHAM The Boss MCA/ユニバーサル(1982)

 新年早々はリイシューの熱波も小康状態と思ったらさにあらず。あのMUROが流石の審美眼で監修した〈Diggin' Universal Music produced by MURO〉シリーズと題して、なかなか手つかずのユニバーサル音源に鋭いディグのメスを入れてくれていますよ。今回は最新リマスターのSHM-CD仕様で5タイトルがラインナップされていて、まずはオリヴァー(・チータム)のデビュー作にあたる82年の『The Boss』(MCA/ユニバーサル)が日本初CD化! 次作の“Get Down Saturday Night”によってその名を永遠にフロアに留める人ですが、同じくワン・ウェイ軍団が手掛けたこの初作もド頭の“Everybody Wants To Be The Boss”から腰のあるディスコ・グルーヴで気持ち良く踊らせてくれます。

 

JERRY KNIGHT Love's On Our Side A&M/ユニバーサル(1982)

 お次はこれも日本初CD化となるジェリー・ナイトの82年作『Love's On Our Side』(A&M/ユニバーサル)。レイディオの結成メンバーであり、オリー・ブラウンと組んだ制作チームとしても活動していくシンガー兼ベーシストで、このソロでの3作目はAORリスナーにもリーチしそうな軽めのアーバン・ミッドがどれも絶品。顔ジャケの素晴らしさがキザな中身のカッコ良さを保証してくれます。マジで。

 

WEST WING West Wing 20th Century/ユニバーサル(1975)

 一方、世界が垂涎する初CD化タイトルとして目玉になりそうなのは、ウェスト・ウイングの75年作『West Wing』(20th Century/ユニバーサル)でしょう。絶頂期のバリー・ホワイトが全面プロデュースを手掛けたクァルテットの唯一のアルバムで、これはもう文句ナシの悶死盤! どこを切っても美麗なリード&ハーモニーとグルーヴィーな演奏が最高ですが、バリーの低音名曲“I'm Gonna Love You Just A Little More Baby”をファルセットでカヴァーする趣向もたまらないです。

 

MARZ Make It Right Liberty/ユニバーサル(1982)

 さらには、スターポイントのマーヴィン・エニスがマーズと名乗って発表した82年作『Make It Right』(Liberty/ユニバーサル)も世界初CD化! バンドでも手を組むライオネル・ジョブが全面的に助力し、ソリッドでスペイシーなブギー・ファンクをズラリと並べています。ややウブで青臭いスロウの懸命な様子も好ましい限りです。なお、他には女性ハーピストのドロシー・アシュビーがカデットに残した70年作『The Rubaiyat Of Dorothy Ashby』も改めて注目ですので~! *出嶌孝次