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激変するアジアの国々のなかに、間違いなく東京もある

――新間さんはトクマルさんのバンドで香港とシンガポールでライヴをやったんですよね?

新間「そうですね。シンガポールではまだまだインディー・バンドが少ないみたいで。出演したフェスではハンギング・アップ・ザ・ムーンっていうサイケ・バンドしか観れなくて。去年もシンガポールに行ったんですけど、その時は終演後にトークショウもやって、トクマルさんに質問したくてうずうずしていた人たちがシンガポール中から集まってましたね(笑)」

※90年代からシンガポール・インディー・シーンを牽引してきたコンケイヴ・スクリームの元メンバー、シーム・ラム率いるプロジェクト

ハンギング・アップ・ザ・ムーンImmaterial - The Divers
 

――シンガポールの人たちからはどういう質問が投げかけられたんですか?

新間「彼らは日本人の作るものがすごく不思議らしいんですよ。〈同じアジア人だから感覚は似てるはずなんだけど、なんでこういう音楽になったのかよくわからない〉と。そういう質問があったので、僕は〈日本人はゼロを1にするのは苦手だけど、1を加工して100にするのは昔から得意なんだ〉と答えたら、みんな〈なるほど!〉と合点がいったみたいで(笑)」

――〈よくわからない〉から拒絶するんじゃなくて、〈よくわからないから関心を持つ。質問する〉というスタンスは素晴らしいですよね。

夏目「確かに」

新間「シンガポールは多国籍国家なんで、いろんな民族がいるんですよね。多様性の国ならではのスタンスなのかもしれない」

1983の2016年作『golden hour』収録曲“文化の日”
 

――そういえば、ロットはモンゴルでもライヴをやったんですよね?

新間「モンゴルってすごいよね」

三船「〈プレイタイム・フェスティヴァル〉っていうウランバートル(モンゴルの首都)から30分ほど車で行ったところのフェスに出ました。何にもない平原が会場だったんですけど、横にフツーに人が住んでるゲルとかがあって(笑)」

2016年の〈プレイタイム・フェスティヴァル〉の様子
 

――ライヴでのリアクションはいかがでした?

三船「僕ら、やたらウケが良かったんですよ。これまでにやったアジア・ツアーで一番ウケたんじゃないかっていうぐらい」

新間「それはわかる気がする。ロットはちょっと草原感あるもんね(笑)」

――フェスに来てるのはどの世代が中心なんですか?

三船「ほとんど若い子ですね。でも、モンゴルはまだ野外フェスの歴史が浅いので、みんなアウトドアの知識がなくて。だから、最初のころの〈フジロック〉みたいに革ジャンを着てそのへんで寝てるんですよ(笑)。街に出るとみんな決して裕福じゃないことはわかるし、そういうなかで高いチケット代を払って観にきてくれてるので、アツいなと思いました。モンゴルは中央アジアの雰囲気もあるし、個人的にはすごく関心がありますね」

――フェスに出てるのはどういうバンドなんですか?

三船「〈プレイタイム・フェスティヴァル〉はメジャーなフェスなので、商業的に成功してるバンドが多かったと思います。コールドプレイみたいなバンドもいたし、大トリはモンゴルの民族衣装に身を包んだハードロック・バンド。やっぱり男らしさを重視する民族性なので、メタルやハードロックの人気が高いんですよ」

――では、最後に埠頭音楽祭の話に戻って(笑)、イヴェントへの意気込みをひとりずつお願いいたします。

夏目「僕らは浦安っていう東京の湾岸エリア出身なので、ここ(晴海埠頭)は自分の育った場所に近い雰囲気があるんですよね。僕としては自分たちの育ってきた環境にみんなを招き入れているような感覚でライヴができるんじゃないかなと思ってます。僕らの楽曲とも相性がいい場所だと思うので、そういう感覚で観てほしい」

三船「ここまで話してきたようにアジアの国々はどこも激変してるわけですけど、そのなかに間違いなく東京もある。この場所がずっと残るのか、今後なくなってしまうのかはわからないけど、そんなところでこういうフェスをできるのは嬉しいですね。今しかできないフェスだと思うし、お客さんにとってもいい体験になると思います」

――では、新間さんにシメを(笑)。

新間「はい(笑)。今後、東京オリンピック前のこの時期の東京のことが語られることがあると思うんですよ。5年後10年後、あのとき行ってよかったなと思えるフェスにする自信はあるので、ぜひ思い出の1ページに〈埠頭音楽祭〉を刻んでいただきたいですね」

 


Live Information
埠頭音楽祭2018

日時:2018年7月14日(土)
場所:晴海客船ターミナルホール(東京都中央区晴海5-7-1)
開場/開演:13:00/14:00
出演:1983、シャムキャッツ、ROTH BART BARON、ラッキーオールドサン、SKIP SKIP BEN BEN(from台湾)、江本祐介
出店:阿佐ヶ谷Roji、こばやし飯店(ex.O-nest)、かざまりさ(似顔絵)、シャンソンシゲル(ライブペインティング)
チケット:一般 前売り4,000円/当日4,500円
大学生以下 前売り2,500円/当日3,000円
※学割は入場時に学生証提示が必須となりますのでご注意ください
※小学生以下入場無料(チケット1枚につき2名様まで)
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