『CONVECTION』に至るまで精力的に動いてきたBESの活動報告

 長い不在を経て、新曲入りのミックスCD『BES ILL LOUNGE PART 2』を2016年に投下して帰還を告げたBES。翌2017年にはI-DeA後見の下で16FLIPやFaceoffらも助力したサード・アルバム『THE KISS OF LIFE』を形にしている。D.FOCIS製の“Mic Life”やI-DeA作の“Walk”などサンプリング主体のロウな音でまとめられた同作は、16FLIPが丸ごと再構築したリミックス盤『THE DEFINITION OF THIS WORD』に発展した。一方、“Walk Remix”を収めたI-DeAのリーダー作『SWEET HELL』でも表題曲“Sweet Hell”にも登場。さらにKOJOEの“Prodigy”では、OMSBやPETZ(YENTOWN)、YUKSTA-ILL、SOCKS、Miles Wordとマイクを回し、多様なスタイルの後進と絡むことで独自性を際立たせてみせている。

 今年に入ると、およそ9年ぶりの絡みとなる鬼と“僕も中毒者”で再会したのに続き、ISSUGIとのタッグ作『VIRIDIAN SHOOT』をリリース。グワップ・サリヴァンやDJ SCRATCH NICE、BudaMunkらの芯のある90年代マナーが熱いDOGEAR色の作りがフロウの復調を促し、フックでもBESならではの存在感を見せつけているのは流石。以降はそこでも絡んだ仙人掌のEPで“WUSHUNNIN”に客演し、SCARSやSWANKY SWIPEを聴いて育ってきた世代にあたるMIKIの“Breath”、KIKUMARUの“March”と、KANDYTOWN組との好相性なコラボも続いた。当人の言葉通りに残された時間が限定的だとしても、短期間で失地回復を図ってきたBESの奮闘とその成果を耳にすれば、まだまだ今後の活躍を期待せざるを得なくなるはずだ。 *出嶌孝次

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