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トゥエンティ・ワン・パイロッツが所属するフェルド・バイ・ラーメンの現在

 レス・ザン・ジェイクの面々が96年にフロリダで暖簾を出し、フォール・アウト・ボーイらを輩出して不動の人気を獲得したフェルド・バイ・ラーメン。2007年にNYへ拠点を移した頃と比べ、現在は所属アーティストの数を絞って少数精鋭な体制でヒットを飛ばし続けるこの集団の近況を確認してみましょう。まずはレーベルが大躍進した2000年代半ばからの付き合いとなるパニック!アット・ザ・ディスコ。10月頭の現時点でラーメン内ではトゥエンティ・ワン・パイロッツの『Blurryface』以来最大のセールスを記録している最新作『Pray For The Wicked』は、クイーン化を図りながらレゲエやファンクやバルカン・ビートの要素も加えた特盛りの内容で、あたかもレーベル仲間のファンによる傑作『Some Nights』の続きを見せてくれているようでした。

 続いて紹介する、パラモアの〈ポスト〉を担う存在としてラーメンが猛プッシュ中のアゲインスト・ザ・カレントも、『Trench』の少し前に2作目『Past Lives』を発表したばかり。EDM濃度がグンと上がっているので、トゥエンティ・ワン・パイロッツの前2作がお好みの方はぜひぜひ! さらに彼女たちの後にも活きの良い若手が控えており、〈トラップ×エモ〉を標榜するナッシング・ノーホウェアや、ファンとロードをイイトコ取りしたような女性シンガーのイースト(E^ST)、マイク・シノダのソロ作『Post Traumatic』でブルージーな歌とラップを披露していたグランドサンあたりは、フィジカルのリリースも待ち遠しいところです。

 最後にひとつ、ここ10年間はハイブリッドなポップ・ロックというイメージの強い同レーベルですが、最近ではダッシュボード・コンフェッショナルやベースメントを獲得し、もともと得意だったストレートなエモ/パンク系も改めて強化していることをご存知ですか? 進化系も昔ながらの味もイケるいまのラーメンに死角はないのです。 *山西絵美