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Taiko Super Kicksは4人という総体ではなく、個の4人の集まりなんです

――いまは〈正義と不正義〉〈僕が正しくて、君が間違っている〉というような二項対立になりがちですよね。

「〈0か100か〉で、中間的な存在が認められないんですよね。本当はグラデーションがあるのに。二項対立の世界が嫌なので、〈そうじゃないところに行こうよ〉〈40でも、50でも、60でもいい〉っていうのが、この曲のテーマなんです。そういう場所があって、それは認められるべきだよねって」

――政治で言えば、〈保守対リベラル〉という単純な対立構造になりがちだけど、本当は、ひとりひとりに〈感性の網目〉で出来た立場がある。

「そうです。その感覚はいま、みんなあると思うんですよね。ちょっとびっくりしたんですけど、“bones”の1行目の歌詞が〈沈黙は語る〉で、GEZANの新作のタイトルも『Silence Will Speak』なんです。きっと何か、そういう同時代的な感覚があるんだろうなって」

――“bones”の〈沈黙は語る〉というラインはどうやって出来たんですか?

「黙っていることもできない、ただ自分が自分でいることすらも難しいという感覚があるんです。その一方で、何かを言ったら意味が変わってしまう、発言が意図したものとは違うものになっていくこともあると思うんですよ。語れば語るほど、自分が言いたいことから遠ざかるような気持ちがある。LINEやメッセージでもそうです」

――では、〈吐きだした骨が/貝殻のように交換される〉というラインでは、〈骨〉は言葉の暗喩なんですね。

「そうですね。本当は肉という豊潤なものがあるはずなのに、他人に伝えるときはしゃぶり残した汚い骨だけになってしまってて、それにみんながうっとりしてるみたいなイメージです。言語って意志疎通のためのものなのに、表現しきれていないものが多すぎると思って」

――自分のなかにある思いと言葉との間に齟齬がある。

「乖離があるんです。おいしい肉の部分が削がれちゃって、骨だけが残されてる」

――結局、歌詞の話になっちゃいますね(笑)。

「やっぱりタイコは詞が見られてるんだなって。だからそこを伸ばしていこうと思って(笑)、今回は頑張りました。歌詞の〈詞〉って、現代詩の〈詩〉と違ってて、結構離れてるんです。でも、その2つを近づけていこうという気持ちはありますね」

――CINRA.NETのインタヴューで暁里くんが、荒川洋治の詩は理想論っぽくなくて、現実的なものだから惹かれたと言っていたのが印象的です。

「その一方で、“感性の網目”の詞は理想論的だとも思ってるんですよね」

――でも、『Fragment』の歌詞が現実と対峙したものだとしたら、今回のシングルはその先を見ているように思います。

「『Fragment』の詞が、自分が対峙してる苦難に向き合ってるものだとしたら、そうかもしれないですね。でも、ストーリー性があったり、ミステリー的な答えが用意されているものは、僕は好きではなくて、それは詩ではないとさえ思ってるんです」

――いま、世界的にラップ・ミュージックが主流になりつつありますが、それには個の表現であることや言葉の力が関係していると思うんです。その点、タイコの詞は強みになる。でも、バンドのメンバーでいることは、ラッパーと違って個ではいられない。大袈裟に言うと、バンドというひとつの社会の成員になるわけですよね。

「その通りですね。バンドは社会です」

――だからこそ、おもしろい表現ができると思うのですが。

「それこそがバンドがバンドである理由なんですよ。だから僕らは、タイコはワンマン・バンドにはなれない。それは、“感性の網目”で歌ってることとは逆のことかもしれないんですけど。でも、タイコには〈1か100か〉じゃない人たちがたまたま集まってるので、それを最大限活かしたいっていう気持ちはありますね。4人という総体ではなくて、個の4人の集まりなんです」

 


Live Information
〈Mikiki Pit Vol. 6〉

11月17日(土) 東京・下北沢 BASEMENT BAR
出演:ayU tokiO/CAR10/Taiko Super Kicks/Potomelli
フード:三軒茶屋 クジラ荘
開場/開演:12:00/12:30
終演:15:00(予定)
料金:前売り 1,500円/当日 2,000円/学割 1,000円
※いずれもドリンク代別。学割をご利用の方は入場時に学生証をご提示ください

>>チケットのご予約は
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メール:mikiki@tower.co.jp もしくは ticket3@toos.co.jp まで
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