INTERVIEW

MONO、envy、downyが主催フェス〈After Hours〉を語る

アンダーグラウンドではなくインディペンデントが集う

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別に僕らが〈After Hours〉に出なくてもいい

――ネットに表れた情報や音、そういうのだけを見ていると、なかなか見えにくい部分を〈After Hours〉では体験できるんだと思います。今後は日本だけでなく、海外のいろんなところで〈After Hours〉を開催することが視野にあるんですか?

ロビン「もちろんです」

Goto「やろうと思ったらいつでもできると思うんですけど、いっつも同じバンドで回るわけにはいかないし、毎度同じお客さんが来るんだったら意味がない。僕らがワンマンでやったときと同じお客さんが観に来るんであれば、僕はやらない。僕ら単独だと1,200人しか入らないのに、5バンドいることによって6,000人が入るというならやるべきだと思う」

――フェスって良い機会だから、単独では腰が重くても、これだけ集まっているなら行こうとなる人は確実にいるわけですよね。

ロビン「東京の前回には、それを感じましたね。売り切れて入れないお客さんも多くて、当日券も並んでいたぐらいだった。僕は自分の出る時間以外は全ステージをすべて観たんですけど、お客さんも楽しそうだったんですよ。〈いまは規制で入れないから、次はこれに行こう〉とガヤガヤやっている感じとか」

――わかります。

ロビン「さっき言った裾野を広げる役割は〈After Hours〉に確実にある、続けていくことで、足を運んでくれる人の数がもっと増えていけばいいわけですよ。例えば、誰が出ると言わなくてもチケットが売り切れるぐらいまでになれば、意味がある。僕らが出てなくても良いと思いますよ、全然。そういうふうになっていけば、すごく価値があるんじゃないかなと思います」

downyが2016年にリリースした第六作品集『無題』収録曲“凍る花”
 

河合「僕ら以外のバンドにとっても〈場所〉になれたらいいよね。僕らが海外に行ったのは、別に海外で売れるためじゃなくて、日本でやる場所があんまりなかったからなんです。envyはどこにも属していなかったし、たいして相手にもされなかった。たまたま中国から〈ライヴをやってほしい〉という手紙が来たんで、行ってみたんですよ。その初めての海外ツアーがもう21年前。インターネットも携帯もなかった時代に、空港で誰が待っているかもわからず、ただエアメールだけを信じて行った。めっちゃくちゃ怖かったですよ。そのあと、ヨーロッパも自腹を1人20万円切って廻って。ライヴのギャラなんてないですよ」

Goto「だって、誰も知らないんだもん」

河合「そう。2回目にヨーロッパへ行ったときだって、2週間、マーチみたいな車でツアーしたんですよ。マーチですよ(笑)? 12時間車に乗って、降ろされてライヴをやって、それを繰り返して、もらったギャラがひとりたった1,000円。成田で寿司を食おうとしても1,500円かかって食えなかったんだから。そんなのを当たり前のようにやってきた過去を美化してるわけじゃないけど、俺らだって、あれがあるからいまでも(海外で)演奏できる環境があると思うんです。MONOだって、最初大変だったでしょ?」

Goto「地獄でしたよ!」

河合「俺らも苦労したから、みんなも同じ苦労をしろと言ってるわけではなくて、そんな経験を活かして、才能あるバンドが無駄な時間やお金を費やすことなく、音楽に集中できて、正当な評価を受けることができる場所があったらいいと思った。そのために〈After Hours〉という場所を作りたいんです」

――後輩たちのために、自分たちが道を切り開いてあげたいという思いがある。

河合「昔の僕らみたいな若者は〈そんなの要らねーよ〉って言うと思うんです。それで良いと思うんですよ。それをわかったうえでリスペクトを込めて〈こういう場所があるんだけど、出る?〉の一言を伝えるだけだし。そういう言葉にならない言葉というか気持ちを大切にしながら。じゃあ俺らも倒しに行きますよ!みたいな気持ちで出てくれるバンド。そういう奴らを誘いたいですけどね」

Goto「そうだね」

河合「好きだなと思う人に好きだって言いたいですね。このフェスを通じて。普段なかなか言えないじゃないですか。だから、オファーすること自体が、仮に出てもらえなかったとしても、好きって伝える良い機会っていうか」

ロビン「そうですよね。出てくれるのは次の回でも良いわけですからね」

――そこはミュージシャン主導でやっているフェスの良いところですよね。

河合「できるかぎり、手紙でもメールでも自分たちで書けるものは自分たちで書きたい。出て良かったって思えるようなイヴェントにしたいですね」

 

黒字が出たら出演した全バンドで分ける、赤字になればこの3人が引き受ける

――そうやってコネクションを作ることによって、自分自身にも返ってくる?

Goto「そうですね。僕からしてみたら、〈After Hours〉が唯一、日本との接点」

――またそんなことを(笑)。

Goto「ホントなんですよ(笑)。〈After Hours〉が唯一の日本公演だった時期もあった」

河合「一時期、諦めてましたからね」

Goto「うん、envyが誘ってくれなかったら、日本での活動はやってなかったかもしれない。もともとノブくんがやりたいって言ったフェスだったからね」

河合「飲み屋で話したよね」

Goto「みんな酔っ払ってたけど、そこでもう決めたんじゃん?」

ロビン「そうそうそう。僕がdownyを再始動して、東京に帰って来るタイミングでノブさんが〈飲もうよ〉とみんなを集めてくれて。そこでノブさんが〈ちょっと言いたいことがある。俺はフェスがやりたい!〉って言いだした。でもどうせ自分でやらないじゃないですか(笑)」

Goto「ノブくんに〈Gotoさん、俺フェスやりたいんだけど、協力してくれない?〉と言われて。俺は〈絶対ヤダ〉って言ったの。でも、目の前にロビンが座ってたから、〈ロビンが仕切りをやればいいじゃん〉って投げて、〈ロビンで良いと思う人?〉って訊くと、そこにいた全員が手を上げたんだよね(笑)。それでロビンになった」

ロビン「〈じゃあ誰がやるんだ?〉となった結果、俺になっちゃったんですよ。えー!! 俺ー!?  沖縄在住ですよ……みたいな(笑)」

河合「10年前ぐらいからずっと考えたり、話したりはしてたんですよ。でも、自分ひとりじゃできないじゃないですか。あのとき目の前にロビンがいたのも運命だと思うし、Gotoさんがいたのもそうだと思う。それが15年前だったら、絶対無理だったと思うんですよ。いまだからできたんだと思う。それに2人(倉橋と山本)と付き合いがあったから、こうしてお願いできたんですよね」

倉橋「15年前だったら確実に断っていますよ」

一同「(笑)」

倉橋「まとめられる自信がない」

――(笑)。〈After Hours〉はいろんなタイミングが噛み合って生まれたってことですね。最後に何か言い残したことがあれば?

Goto「最後にひとつ言っておきたいのは、初回の打ち合わせで、このフェスの黒字は全バンドできちんと分けると決めていたってこと。逆に赤字が出たらこの3人で自腹を切るっていうのが最初の契約なんですよ」

――第1回目から?

Goto「そうです。先行きが未知数すぎるので。赤字が出たら、それぞれのバンドではなくて、この3人が自腹を切る。そのうえで、赤字を切ってでも呼びたいバンドを呼ぶのか、お金を儲けたいから売れているバンドを呼ぶのかっていう。そういう意味では、僕らは赤字を切ってでも、呼びたいバンドを呼ぶっていう気持ちがベーシックにあるんですよね、いまも」

――悔いがないように。

Goto「そうそうそう。来年にはなくなるかもしれないしね。今回これやってみて、お客さんが入らなくて、なくなるかもしれない。だから、いまできることを精一杯やるしかない」

 


Live Information
〈After Hours TOKYO '19〉
2019年5月12日(日)東京・渋谷TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-CREST
開場/開演:12:00/13:00
料金:前売り 9,500円(別途ドリンク代)※小学生以上有料、未就学児童は保護者同伴の場合無料
出演:エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ(US)/エイミング・フォー・エンリケ(ノルウェー)/スヴァールバル(イギリス)/レッドネック・マニフェスト(アイルランド)/MONO/envy/downy/toe/Boris/Killie/PALM/bacho/heaven in her arms/LITE/OOIOO/Vampillia/skillkills/NOT ll BELIKESOMEONE/5kai and more……
★公演の詳細はこちら

Tickets will be available to buy from the below vendors with English language support, from the general sale phase onwards :
《Ticket PIA》http://w.pia.jp/a/afterhours19tokyo-eng/
Sat, February 9th TICKET ON SALE
★Total English Guidance《http://smash-jpn.com/english/

 

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