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ここで一旦O-EASTを出て、同じビルの1階にあるduo MUSIC EXCHANGEに移動しOOIOOを観る。このイヴェントのチケットが早々に売り切れたと聞いたとき、客が多すぎて入場制限の連続になるのではと懸念していたが、アーティストの各ステージへの配分や出演順、出演時間などの案配がうまくいったようで、入退場でのストレスはまったく感じなかった。

OOIOO
Photo by 鳥居洋介

OOIOOはプリミティヴでオーガニックで大らかな唯一無二のオルタナティヴ・ロックを披露。驚かされたのはその後に出たLITEだ。ライヴを観るのは久しぶりだったが、シャープでモダンでスタイリッシュなポスト・ロックが途轍もなくカッコいい。裏でやっていたtoeを意識したようなMCもあったが、toeの骨太で逞しいグルーヴとは対照的に、細身だがムチがしなるような鋭利な音がいくつも交錯していく複雑な、だが無駄なくすっきりと整理された演奏は強力の一言。40分の持ち時間はいかにも短く、これはワンマンのライヴを観なくては、という気にさせられた。

LITE
Photo by 鳥居洋介

現在の日本のロックの商業的な主流は、共感できる歌詞とキャラクターのおもしろさがほとんどすべてで、音楽的な妙味という意味では物足りないものも多い。LITEやMONOには一緒に歌えるポップなメロディーも人の背中を押すメッセージもおもしろいキャラクターもない。ただひたすらに音楽の深さと新しさと自由を追求している。そんな連中をメインストリームと区別して〈オルタナティヴ〉と呼ぶ。この渋谷の一角は、そんなオルタナティヴで自主独立の精神を忘れない音楽の解放区だった。

その後のmouse on the keysの洗練された演奏に後ろ髪を引かれつつ、O-EASTでエクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ。今年バンド結成20年を迎えたテキサスのポスト・ロックの雄。2016年に出演したフジロックの圧巻のライヴはいまでも語り草だが、この日も70分の演奏時間は短いようでもあり、長い長い映画を観ているようでもあり、ゆったりとうねる大河のような演奏は凄まじいばかりのスケールと強度と許容量で鳴っていた。

エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ
Photo by 岸田哲平