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ゾンビーズが、かの名優ローレンス・オリヴィエ主演、オットー・プレミンジャー監督の映画「バニー・レークは行方不明」に起用されたのは素晴らしいチャンスと思われたが、酷評され、失敗。ゾンビーズは、初期の成功に反してイギリスでは次々とシングルが失敗し、その後のことを心配した彼らはCBSレコードに移籍した。現在、彼らの傑作として知られている68年の2枚目のアルバム『Odessey and Oracle』(アルバムのカヴァーでOdysseyを間違えてスペルしている)はかのアビー・ロード・スタジオで録音された。このアルバムからカットされた2枚のシングルはアルバム発売前に出版されたが、どちらもチャートインしなかった。

フラストレーションが溜まったバンドは67年、ついに解散。しかしアルバムはすでにリリースの日程も決まっていた。アルバムからのサード・シングルになる“Time of the Season”が68年3月にリリースされ、アルバムは翌月発売となる。バンドがすでに解散していたことからレーベルの社長だったクライヴ・デイヴィスはリリースに反対していたが、ミュージシャン兼A&Rの担当だったアル・クーパーがレーベルを説得し、アメリカで発売された。最初はチャート95位と控えめな結果だったが、ゆっくりと順位をあげ、69年初頭、そして3月にはチャート3位にランクイン。バンドが解散して1年以上経ってからのことだった。

68年作『Odessey and Oracle』収録曲“Time of the Season”

 

時間の経過とともに、他のトラックも評価された。“Butcher’s Tale”もゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツなど多くのアーティストにカヴァーされ、“Care of Cell 44”はエリオット・スミス、マシュー・スウィート、スザンナ・ホフス、オブ・モントリオールなど、“This Will Be Our Year”はオーケー・ゴー、ビューティフル・サウス、サミアンらがカヴァーした。

エリオット・スミスのゾンビーズ“Care Of Cell 44”のカヴァー

オーケー・ゴーのゾンビーズ“This Will Be Our Year”のカヴァー

“Time of the Season”が徐々にヒットとなる間、メンバーは次のステップに進んでいた。ロッド・アージェントは新バンド、アージェントを結成、ヴォーカルのコリン・ブランストーンはソロ活動を開始。クリス・ホワイトは作曲家としての活動に注力、ポール・アトキンソンはディック・ジェイムズ・ミュージックのA&Rとなり、ヒュー・グランディはコロムビア・レコードのA&Rとなる。

71年、コリン・ブランストーンはエピック・レコードからソロ・アルバム『One Year』をリリースした。元ムーディ・ブルーズでポール・マッカートニーによるウイングスのメンバーであるダニー・レインが書いた“Say You Don’t Mind”がUKチャートで15位にランクイン。アージェントのメンバーで後にスーパー・プロデューサーとなったラス・バラードによる“I Don’t Believe in Miracles”が31位になり、アルバム自体はそこそこの成功となる。このアルバムには、ゾンビーズの旧メンバー、ロッド・アージェントやクリス・ホワイトが書いた曲も含まれていた。

アージェントの最初のアルバムはチャートインもしなかったが、このアルバムのトラック“Liar”がその後スリー・ドッグ・ナイトにカヴァーされて大ヒット。アージェント自体は、彼らの3枚目のアルバム『All Together Now』、同作に収録された72年の“Hold Your Head Up”まで成功と言える成果を手に入れることはなかった。この曲はミスター・ビッグ、フィッシュ、マザー・ラブ・ボーン、ジェリーフィッシュ、ステッペンウルフ、ユーライア・ヒープにもカヴァーされている。

アージェントの72年作『All Together Now』収録曲“Hold Your Head Up”

アージェントの4枚目のアルバム『In Deep』はアメリカでトップ100にギリギリではあるがランクイン。特に目立ったトラックはラス・バラードによる“God Gave Rock ‘n’ Roll to You”で、のちにキッスがカヴァーしてヒットし、映画「ビルとテッドの地獄旅行」(91年)にも使われた。

キッスの91年作『Revenge』収録曲“God Gave Rock ‘n’ Roll to You II”。アージェントのカヴァー