変な歌詞はどうやって生まれる?
――また歌詞の世界観もおかしくて。誰しも最初は英語をローマ字読みしちゃう現象を歌った“ローマでピングポング”とか、どんな内容の食べ物がいくらで出てくるのかわからない日替わり定食を〈シュレディンガーの猫〉とかけた“シュレディンガー定食”とか。あの歌詞はどうやって出来てるんですか?
下田「ほぼほぼ俺の世界観ですよ、あの歌詞は」
――ああいうのっていつ思い付くんですか?
下田「メロディーを考える時に、先にどういうテーマにしよっかなあって考えたり、メロディーを先に思い付いてたら、ここにどういう言葉が当てはまるかなって思ったり。例えば“ピングポング”はいつか曲にしようってずっと思ってたことなんですよ。ハコさんと散歩してる時に香港料理の看板を見て、〈俺、今度ホングコングみたいな歌詞作りたいんだよね〉って言ったら〈いいじゃん〉って言ってくれて」
ハコ「へえ~(記憶にない)」
まさし「この曲は本当に歌詞おもしろいよね」
下田「“クロスダンス”は人のライブを観に行って。アメイジング・エンリケだっけ」
ハコ「ああ、アメイジング・フォー・エンリケね(※)」
(※正しくはエイミング・フォー・エンリケ)
下田「それがすごいおもしろくって、観ている途中で、〈もし自分がここに立ったとして何をやったらおもしろいかな〉って思って、クロスダンス(※)をやったらウケるかなって思ったんですよね。それで、曲の途中で踊りをやろうって決めたんですよ」
(※クロスダンスは下田氏の造語。手を膝に当てて交互に動かすこのダンスが彼は得意)
――ドラマーなのに前に出てきて踊るっていう(笑)。じゃあ歌詞は日常的に考えてることとか、疑問とかが多いんですね。
下田「そうですよ。歌詞なんてやっぱり馬鹿馬鹿しいくらいがいいと思うし、そんなこだわんなくていいじゃんって思ってます(笑)」
――普通のラヴソングに共感したりは?
下田「しない……ことはないけど、恥ずかしくない?とは思う(笑)」
――ラヴソング作ってる側からしたら〈クロスダンスなんて恥ずかしくないの?〉だと思うけど(笑)
まさし「(爆笑)」
下田「恥ずかしさのツボがね、違うんだろうな」
まさし「下田さんの書く歌詞は下田さんそのまんまなんですよ。だから逆にいま新鮮。俺とハコちゃんは下田さんに慣れちゃってるから、そういうことに疑問も覚えなくなってて」
ハコ「そうそう!」
まさし「下田さんがクロスダンスを歌詞のテーマに持ってきた時に、普通は〈そこ歌詞にするか!〉って疑問を感じるでしょうけど、俺とハコちゃんは感覚が麻痺ってるからすぐ採用したよね」
ハコ「あ、そうなのか」
まさし「そういうツボが3人で合ってるからいいんだろうね」
――そういう世界観って何に影響を受けたんですか?
下田「少年ジャンプですね。〈努力・友情・勝利〉。自分の正義の価値観はそこで全部出来たから」
――クロスダンスと全然関係ないじゃん(笑)。
全員「(爆笑)」
――もっと不条理マンガとかなら話が通じるのに。まあでも今作には「ジョジョ」の曲(※)もあるもんね。
(※「ジョジョの奇妙な冒険」第5部に登場するキャラクター、ブチャラティへの愛を歌った“ブチャLOVEティ”が本作に収録されている)