めっちゃ感情移入できる
——で、セカンド・アルバム『LOOKiE』が完成して。MVも公開されてる“BASKET BOX”がリード曲ということですね。
モン「はい、BiSの曲ってほとんどメロディーが先にあるんですけど、この曲は渡辺(淳之介:WACK代表)さんが書いた詞に松隈(ケンタ:サウンド・プロデューサー)さんが後から曲をつける詞先の作り方で。音と関係なく渡辺さんが言いたいことをストレートに書いた内容だと思うし、凄い共感できます」
ネオ「自分は歌詞をあんまり意識してこなかったんですけど、これは聴いてるだけで凄い耳に入ってきて。1行1行に意味があるので、何かハッとしましたね」
——歌詞が立ってるし、歌も立ってます。
ティ部「まあ、イメージはグリーン・デイなんですけど、レコーディングでは何かを演じる感じでもなく、普通にすっきり歌いました。意味を理解しようと思わなくても表現がストレートだから、〈ここはこういうふうに歌うんだな〉ってわかる感じがして、歌いやすかったです」
トギー「曲を聴いても泣くけど、歌詞読むだけでも泣けますね」
モン「うん、泣ける」
ネオ「歌詞はめっちゃ泣ける系。でもメロディーが明るいから感情を入れやすかった」
——ちなみに皆さんはグリーン・デイに親しみはありました?
ティ部「海外のバンド好きなら聴いてる子も多いけど、私はそんなに知らなくて」
モン「でも聴いたら曲は知ってました(笑)」
ティ部「曲をいただいてから、“Basket Case”のMVもめっちゃ観ましたね」
——それをリード曲にしつつ、アルバムはアタマ3曲が前作と同じ曲で、BiSHさんの『FAKE METAL JACKET』を踏襲してるというか。
ティ部「はい。〈NEW TYPE Ver.〉で」
トギー「4人でやらせていただいております」
——これは歌い直したもの?
モン「ではないです。最初のレコーディングで録ってもらっていて」
トギー「そうそう、〈誰か辞めるけん、多めに録っとく〉って(笑)」
——(笑)あと、シングルの“DEAD or A LiME”が未収録で、そのカップリングだった“テレフォン”が入って、他は新曲となりますが、各々の好きな曲を紹介してもらいましょうか。
モン「私は“LAUGH AT ME”です。あんまりバラード聴かないんですけど、これはめっちゃ好きで。松隈さんは映画のエンドロールにかかるような曲をイメージされていて、〈90年代のJ-Popの熱い、青臭い感じ〉って言われて」
——こういう曲調は初めてですよね。
モン「1曲だけしっとりしてますよね。レコーディングではパートごとに何回も録ってから、最後に丸々歌うっていう録り方だったんですけど、歌えば歌うほど入ってくる曲というか、いちばん最後に録ったものに感情が込められたので、これから何回も歌っていくにつれてどんどん感情移入していける曲かなって思います。歌詞も弱気な気持ちが出てるというか」
ティ部「臆病な感じが」
モン「そうそう、臆病な感じ。そこが凄い共感できて好きです」
——はい。では、トギーさんは?
トギー「作詞してる“FUCKiNG OUT”ですね。特にサビではBiSのことを書いてて、3期のBiSが始まった時の渡辺さんのインタヴューで、〈BiSが武道館立てるのは僕が死んだ時ですね〉みたいに言ってるのを読んで、〈何?〉って思って(笑)」
ティ部「どういう意味の〈何?〉なの?」
トギー「立ちたいじゃん、武道館。けど、それは一生できないって意味なのか、〈じゃあ、死んだら立てるん?〉とか考えてしまって(笑)。意味はそれだけじゃないけど」
ティ部「初めて知った。でも、聴く人によっては恋愛の曲にもなるしね」
トギー「あ、そういうこと? まったくその意味はなかった」
ティ部「重たい女がこういうこと言いそう。〈遊びじゃないの〉とか」
トギー「言っちゃう?」
ティ部「言っちゃう」
モン「わ~(笑)」
トギー「オトナの女~」
——流石ですね。
ティ部「やめてください(笑)。でも、〈いつか人は死ぬから〉って3サビのトギーが、吠えて噛みついてくるんじゃないかってくらい、力強い歌い方で良いんですよ」
モン「うん、かっこいい」
トギー「怒りではないけど、BiSへの気持ちとか、〈武道館立ちたい、何やねんコラ〉みたいな気持ち」
ティ部「歌ってて気持ち良かったよ」
——シャウトも激しいですよね。ネオさんはどの曲を?
ネオ「全曲好きだけど、いろんな人に聴いてほしいのはラストの“FOOL PROOF”です」
ティ部「いや、わかる!」
ネオ「これも〈メロディーめっちゃ良いな〉と思って聴いてたら、もう耳に歌詞が突き刺さって〈うう!〉ってなる曲です。いちばん最初の〈何度も果たせぬ夢〉から、〈挑む先は悪魔さ〉で、〈僕らは飲まれて苦しんで存在を証明できてるんだ〉って、凄いBiSに当てはまると思って。あと、〈人間何か間違う 誰しも何か間違う だから優しく厳しくできるでしょう 人と違うとこ探す 誰だ僕らは君は 温かい血が流れているかな〉って、めっちゃ人間っていうか、生きてるっていうか。何て言うの?」
モン「人間味というか。うちも〈人間何か間違う~〉のところがいちばん好き」
ネオ「そう、人間味? ここが特にグッときて、自分はこんなこと書けないなって」
——歌詞や音楽の聴き方が変わってきた?
ネオ「変わりました。凄い歌詞を読んで〈これはどういうことなんだろう?〉って考えることが多くなりました。結局はわからないんですけど(笑)」
——今回はそういうテイストの歌詞が多い気もしますね。では、ティ部さんは?
ティ部「聴けば聴くほど変わっていくんですけど、いまは“LOVELY LOVELY”が凄いお気に入りです。これは歌って踊るとハッピーになっちゃうんですよ」
トギー「可愛いよね~」
ティ部「私はアーティスティックな感じの曲より、歌詞とかパフォーマンスも含めて〈こういう曲歌ってたら好き〉とかがあるんですよ。これは歌詞もめっちゃ可愛くて、〈パフォーマンスしたら目の前のお客さんも笑顔になっちゃうんだろうな〉って思い浮かぶし、〈子猫ちゃん〉とかの若干キザなワードも印象に残って、凄く好きです」
——ちなみに皆さんは小沢健二さんは?
ネオ「名前だけは……」
トギー「調べました。作詞が大沢淳三さんってなってるので(笑)」
モン「誰?って(笑)」
——誰なんでしょうね。もともとアルバムの大前提で〈90年代〉みたいなテーマはあったんですか?
ティ部「そうですね。今回狙ってるかも」
——グリーン・デイの『Dookie』も小沢さんの“ラブリー”も同じ年に出てるので、たぶん松隈さんや渡辺さんが10代ぐらいの時代感がテーマにあったのかなというか。
トギー「その頃の青春みたいな感じなのかな? 音楽好きな方に刺さりそうなアルバムですよね」
ティ部「“LOVELY LOVELY”を公開した時とかに、〈うちらの世代を刺しにきたな〉みたいなツイートは見ました。あと“KiSS MY ASS”もピアノの感じとかジュディマリっぽい。ジュディマリさん、好きなので(笑)」