10年後もステージを走り回れるような楽しいライブをしたい
――それぞれの成長を感じつつ、新たなNao☆ソロを出しましょうと決まったときは、やっと自分の番がきたぞと。
「なりました(笑)。でも、自分の容姿に自信がなさすぎて。ぽんちゃとかえぽはかわいいから絵になるけど……ジャケットが来たとき、〈私のどアップで大丈夫ですか?〉って聞きましたもん。〈自分かわいい!〉って見れる容姿だったらよかったんですけどね。そこはいまも気になります」
――そんなこと思う必要はまったくないですよ。
「うちのメンバーはみんなそういう性格なんですよね。控室で誰かが自分の容姿について言い始めたらみんなで同じことを言う(笑)。あと、かえぽはNegiccoがきっかけでスカートさんを知って、繋がったし、私も今回お世話になったアーティストさんはそうなんですけど、好きなアニソンしか聴いてこなかったんですよね。だけど自分の歌う歌はアニソンじゃないから、そこからどういう楽曲をやりたいかっていうのは色々考えました」
――方向性は自分でも考えていったんですね。
「自分がライブをやることを想像したり、将来的にこういうアーティストさんみたいになれたらなと思って楽曲をお願いしました。スクービーさんのライブに行ったら、4歳の男の子が掛け声を出して手を振りながらライブを楽しんでいたんですよ。それがすごいなと思って」
――そういった光景を見たりするなかで、こんな曲がいいんじゃないかと定まっていった。
「〈この曲の感じでお願いします〉って進めていった感じです。曲調とかではないんですけど、やりたいことはずっとあって。10年後もステージを走り回れるような楽しいライブをしたいんですよね。自分のキャラ的にも明るく楽しくステージができたらいいなって」
――Negicco以前を含めて20年近くやってきて、結婚を経て、さらに10年後も見据えているというのをさらっと言えるのが本当にいいことだなと思います。
「10年後は42歳か。……言うたけれども、やっぱ5年くらいかな(笑)。ちょっと言い過ぎました(笑)。10年後は未知の世界ですけど、現にaikoさんとか、40代に入ってもすごい人はいますよね。私はネギで高いキーを任されているんですけど、それをずっと出し続けることがいまの課題なんです」
――歌いやすいキーも変わりますか。
「やっぱり年々出なくなっていきますね。昔の曲を歌うとめっちゃ高い。踊りも難しくなっていくし」
――近年は激しく踊ってはいないですよね。
「そうですね、年齢に見合ったダンスを(笑)。昔の歌を歌うことになって過去の映像を見るとピチピチなんですよね。いまはノロノロしててキレがない」
――もう少し別の言いかたあると思いますけど(笑)。ただ、どうしたって変化はしていくもので。
「アイドルはそこを脱出するのが大変なんですよね。変わってきてしまうなかで、落ち着いたものを見せてもちゃんとファンのかたが付いてきてくれるのは本当にありがたいなと思います。でもやっぱり、ちょっとライブが空くと歌とダンスがバラバラになってくるんですよ。自己流パラダイスなんです」
――自己流パラダイス(笑)。それぞれなりの歌や踊りになってしまう。
「それにMCもへにょへにょになっていくんですよね」
――ああ。おなじみの即興的なやりとりもツアーで回っている間はあうんの呼吸でできるけれど、単発でライブをやっていくとそれも難しくなると。
「そうなんですよ。できるだろうと思ってたんですけど、実際は久々だと結構できなくなるんです。だからそれを取り戻すために、ライブがなくても定期的に3人で練習しないといけない。ソロ活動があるとどうしてもソロに意識が行きがちじゃないですか。それも大事だけど、Negiccoがあるからソロができるのであって、そこを忘れないように頑張ろうねって3人で話しました。でも、みんなが結婚して出産とかしたらそうも言ってられなくなるんじゃないかと思っちゃって。そういう将来の話もみんなでしつつ」
――ハードルをいくつクリアしても悩みは尽きないですね。
「いやー尽きないですね! 3人しかいないから、ひとりでも休んだらNegiccoはできないわけですよ。私たちはふたりじゃできない。どうしようっていうのはずっと考えてます」
――前例もほぼないから、壁にぶつかるたびに考えないといけないですよね。
「未知なる世界が続きすぎていて。ファンの人が続けてくれてありがとうって言ってくれるんですけど、続けるのは本当に大変だし、そもそもファンの人がいないと続けられないから、ありがとうと言いたいのは私たちのほうなんです。それでも現実問題は色々あって、例えば何か月も休んだりすると、〈この振り覚えてる?〉っていうことになるので、いまDropboxにめっちゃ動画を上げてるんですよ。何年間も録り続けてきた動画が全部入ってます」
――折に触れて確認している。
「振りだけじゃなくて歌詞も忘れるので、確認してます。年齢的にもそういう段階に来てますね。加齢だねーって(笑)」
――加齢だねって(笑)。こういう話を聞いて残しておくとこの先のひとつの指針になるのかな思いました。
「〈グループは4人以上にしておけ〉とか(笑)。ふたりは成立しないんだよなぁ。やってた時期もあったけど、いまは3人いないと成立しないという思いが強いです」
――いまのほうが仲良くなっている印象もありますしね。
「そうなんですよね、いまのほうが楽しいです。LINEで絡んでたのがTwitterでも絡んだり(笑)。中高生の頃が一番ピリピリしていたかもしれない。どうなっていくかもわからないし、どうしていいのかもわからない。年の近い人にアドバイスされるのもイヤだしっていうのもあっただろうし。いまはみんな大人になりましたよね」