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西表島での経験をもとに書いた曲たち

大人になり、西表島で得た経験をもとに書いた曲があります。
ZA FEEDOの“ルーティン”と“ここから”という曲です。

まず“ルーティン”について。

この曲は、イントロから5/8拍子、5/4拍子、9/8拍子、5/8拍子と進んでいき、大サビで4/4拍子にまとまります(ゲスト参加してくれたGentle Forest Jazz Band/Nao Kawamuraの佐瀬悠輔くんのトランペットが超かっこいい)。

イントロとAメロにおける主旋律の動きは、なんとなく面白い感じにしたくて、5/8拍子の中でどうやったら自分がヒーヒー言いながら苦労できるかを考えて作りました。一定の尺の中で、拍の頭でメロディーの頭も戻すことも気持ちよくて……。

自分でも変態的だと思いますが、こういう曲を作る上で私が意識しているのは、自分の中で慣用になっている何かを見つけ出し、それを壊したい、ということです。できないことができるようになる喜び。

汗まみれでジャングルをかき分けていく、みたいなことに私は価値を感じてしまうので、何を取り入れたら自分がワクワクできるかを考えることを大切にしています。

何かを生み出す時に試行錯誤することは、これまでの成果や成功体験を変更することをいとわないということ。それはある程度の不確実性を受け入れることになるので、正直怖い時もあるけれど、挑戦、冒険、イノヴェーション、自身に対するそういう気持ちは忘れたくないものです。

そうやって納得しながら作るという過程で、自分の中に存在していなかったものに出会いたい、生み出したいという衝動をメインに、少しの既視感をスパイスにするとそれがピリッと効くこともあって、とにかく楽しいのです。

歌詞はコチラ

逆に、“ここから”という曲では郷愁感を大切にしました。

この曲はずっと4/4拍子です(ゲスト参加してくれた吉田悠樹さんの素晴らしい二胡が最高)。

入江陽くんのラップ・パート(入江くん作詞。最高)が曲のストレンジ性を強調していて、面白いと思っています。

この曲は詞先ではなく曲先で作ったのですが、ノスタルジックな曲調から生まれた歌詞はこんな感じです

昨日まで見慣れていた景色が今日は違って見える。
新しい始まりを感じる。
昨日というノスタルジーを大切にすればこそ明日へ進める時もあるよね、的なことを言っているつもりです。

〈ルーティン〉は幸せなことだし、それを作ることも大切。
そして、それは永遠ではないということ。

この2曲が収録されているアルバムのタイトルは〈Passengers〉。タイトルの通り、全ての旅行者、人生の乗客に手向けた内容になりました。
収録されている6曲は桃源郷へ向かう旅の始まり“ユートピアへ”からスタートし、その道中で出会いと別れがあり、価値観の変化があり、そして最終曲“ここから”でまだ続いて行く旅を表現して終わる、という曲順にしました。

そんな曲たちの生まれ故郷、西表島への感謝を込めて。

 


PROFILE: 沖メイ
東京生まれ。日本のバンド・ZA FEEDOのヴォーカル、作詞、作曲、アートワークを担当。小学校に行かず、東京シューレで過ごした後、自由の森学園に入学。卒業後、和光大学に進学し、ジャズ研究会にてビッグバンドをはじめ、テナーサックスを担当。ジャズやモータウンなどをたくさん聴いて過ごす。
社会人を経て2012年、ZA FEEDO結成後から作曲を始め、エレクトロニカ、民族音楽、クラシック、ジャズ、ロック、猫、インコなどから影響を受けた楽曲を制作。ソロ活動も並行する。
ZA FEEDOとしてシンガポールの野外フェスに招聘されるなど精力的に活動。
2016年、LAから来日したマイ・ハワイ(my hawaii)のジャパン・ツアーに帯同。同年8月には沖メイとしてノウワー(KNOWER)の初来日公演のゲスト・アクトを務める。
2017年、初めての単身ツアーとしてヨーロッパへ。ベルギー、フランスを廻る。
2019年、ZA FEEDOの活動休止を機に本格的にソロ活動をスタート。自身がバンドに提供した楽曲を主に演奏し、2020年、台湾、東名阪ツアーを開催。
その他の活動として、Billboard Live TOKYOで開催されたYasei Collective〈Yasei Collective 10th Anniv. Kick-Off Party feat. Special Guests !!!〉(2020年)に参加。藤原さくらのデジタル・シングル“Twilight”にハーモニー&コーラス・アレンジで参加。
山野楽器 新宿ロックインにてドラム・ヘッドに動物ペイントする企画を開催&受注中。