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カルト少年に幸あれ

 自身の内面と向き合い、みずからを浄化するようにエモーショナルな歌を紡ぎ出していた前作『Detox』に対して、本作では決して明るいとはいえない外界に目を向け、皮肉交じりのユーモアを散りばめたサイエンスフィクションを描きながらも、その奥底では人との繋がりを求め、すべてを諦めきれないでいる。そんな矛盾を呑み込みながら、未来に向けて音楽を放つMomは見違えるようにタフになった。アルバム・タイトルの『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』にも、そんな彼の気持ちの大きな変化が表れている。

 「今作の制作中盤に作品を完成させる自信を失ってしまった時期があって。そこで、モチベーションを高めるべく、もともとカルチャー自体が好きだったスケートボードを始めたら、すごい新鮮だったというか、長らく忘れていた感覚が蘇ってきて。転びまくってアザだらけになったり、滑っていると怪訝な目で見られたりもするんですけど、そうした経験を通じてタフになったような気がしたし、自分のなかでスケートボードが少年性や前に進んでいく推進力を象徴するものになっていったんです。だから、〈Sk8board〉という言葉を用いたアルバム・タイトルも自分にとってはポジティヴなものというか、〈21世紀を生きるカルトな少年たちよ、幸あれ〉という思いが込められているんです」。