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挑戦と確かな前進

 本作でMichael Kanekoはヴォーカルとギターのみならず、キーボードやベースもみずから演奏し、ドラムの打ち込みをはじめとしたプログラミングも担当。AOR調の“Circles”、コンピ『Lo-Fi Hip Hop, Soul from origami PRODUCTIONS Pray for Australia』にも収録されていたチルなムードの“Alive”、70~80年代のソフト・ロックと現行のサウンドを組み合わせたという“These Nights”は、前作からの確かな前進を感じさせる。

 「“These Nights”は〈フリートウッド・マックやトム・ペティみたいな人たちがいまっぽさを出したらこんな感じかな?〉 っていうのを意識して作った曲です。ギターもしっかり入れてて、体が揺れるような感じの曲で、個人的にはアルバムのなかでもトップクラスに好きな曲ですね。あとは、mabanuaさんの影響もあって。僕はもともとギター一本でもちゃんと聴かせられる曲を作りたくて、mabanuaさんの曲もそうだなって思うんですけど、でもそのうえでトラックもすごくカッコイイ。そこを目標に作った曲かもしれないです」。

 本作のなかでもっともチャレンジを感じさせるのは、オープニングを飾る“Bre­akdown”。ナイル・ロジャース風のダンサブルな曲調にラッパーのDaichi Yamamotoが参加し、Hiro-a-keyとの共作で日本語詞にもトライしている。

 「もともと全部英詞で作ったんですけど、〈リード曲にするなら日本語を入れてもいいかも〉っていう話になって、同じバイリンガルのHiro-a-keyさんに手伝ってもらって、一緒に書いて。さらに〈ラップを入れたらおもしろいかも〉っていう話も出て、個人的にも大好きだし、同じく英語と日本語を使えるDaichiくんに参加してもらえたらなって。彼はハーフで、僕はハーフではないけど、アイデンティティー的には日本かアメリカかよくわからないっていう意味で共通点もあるから、一緒にやってみたくて。やっぱり、彼の英語の入れ方はすごく自然なんですよね。日本の曲だと〈ここでいきなり英語?〉みたいなこともあるけど、彼の場合はそうじゃないなって」。