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asmi
フリーフォームな歌心でリスナーを鷲掴みにする19歳の新星

 関西を中心に開催されている10代の才能発掘プロジェクト〈十代白書〉において2020年度のグランプリを獲得、さらにはRin音“earth meal”へのフィーチャリングで響かせたジェントルなヴァイブス&キャンディー・ヴォイスも記憶に新しい大阪在住のシンガー・ソングライター、asmi。それと前後し、クボタカイ作品などの仕事で知られるTaro Ishida、Shun Marunoのプロデュースによる“lemon tea”“cre­am soda”といった自身の先行配信曲によって着実に知名度を上げてきた彼女が、ファースト・アルバム『bond』をリリースする。

asmi 『bond』 ROOFTOP(2020)

 リズミックにたゆたうメロディーと柔らかく気怠い歌声にいきなり鷲掴みにされる“summer sour”で幕開ける本作。先述のチル・ラップ勢やとも通底するメロウかつ親密なムードを湛えつつ、泉まくらやその影響下にある女性ラッパーたち――ひいてはCharaやaiko、杏沙子あたりのリスナーにもドンピシャであろうフリーフォームな歌い回しと、ハイティーン女子ならではのままならない恋心や日々の徒然を綴った歌詞もいい。ゆるファンキーな“anpan”やほんのりダビーな“おすしの唄”など、タイトルだけからは想像のつかないラヴソングにニヤリとさせられ、とはいえそれらのウェットな心情も軽やかに着地させる歌心がここにはあって、そのバランス感覚は何ともクセになる。鍵盤とふんわり寄り添うラストのミディアム“lonely midnight”まで、それぞれのセンチメンタリズムと向き合う時間をたまらなく心地良いグルーヴで満たしてくれる、キュートなベッドルーム・ポップ集。早々にブレイクしそうな逸材の登場だ。 *土田真弓

asmiが参加した作品を紹介。