ESSENTIALS
ビリー・オーシャンの名作たち

BILLY OCEAN 『Billy Ocean』 GTO/Funky Town Grooves(1976)

GTOからのデビュー作。オーシャンと曲を書いているベン・フィンドンのプロデュースで、当時全盛のフィリー・ソウルと60年代モータウンを模したサウンドが、USソウルへの憧憬を隠さないUKらしい。ヴォーカルも若々しく勢いがあり、ポップな楽曲をいっそう輝かせる。全米ヒットした“Love Really Hurts Without You”や“L.O.D.(Love On Delivery)”は、ひとりフォー・トップス状態だ。 *林

 

BILLY OCEAN 『City Limit』 GTO/Funky Town Grooves(1980)

シングル・オンリーで出したリック・ホール制作のフェイム録音曲を挿み、ケン・ゴールドに制作を委ねたGTOでの2作目。ノーランズやデルズ、ラトーヤ・ジャクソンも歌った曲の本人版など、大半は次のエピック盤にて再録音されるが、ゴールドとコラボした本作の質感はデレゲーションやリアル・シングに近い。次作で冒頭を飾る“Are You Ready”はMJ〈今夜はドント・ストップ〉マナー。 *林

 

LA TOYA JACKSON 『La Toya Jackson』 Polydor/Cherry Pop(1980)

オーシャンとケン・ゴールドのペンによる“Are You Ready”は、オーシャンが2/3作目で披露していたマイケル・ジャクソン風の爽快なアップで、ここでラトーヤが歌うのも頷けるほどのマイケル感が凄い。トロピカル路線に開眼するのも早かった彼女だけにオーシャンの作風が気に入ったのか、ラトーヤは次作でもゴールド&オーシャン作の“Stay The Night”を取り上げている。 *出嶌

 

NOLANS 『The Best Of The Nolans』 Epic(2004)

ベン・フィンドンがバックアップしていたアイリッシュの姉妹グループで、日本でもアイドル人気を博したノーランズ。『Making Waves』(80年)収録曲で、〈ときめきTWENTY〉の邦題も知られる全英ヒット“Who's Gonna Rock You”はオーシャンのペンによるもの。彼が自身の2~3作目で披露したなので実質はカヴァーということになるが、彼の作風が宿す普遍性がよくわかる一例として。 *出嶌

 

BILLY OCEAN 『Nights (Feel Like Getting Down)』 Epic/ソニー(1981)

GTOの消滅と重なるタイミングで生まれた3作目にしてエピック移籍作。過渡期の作品ゆえか大半は前作収録曲をナイジェル・マルティネスのプロデュース/リアレンジで歌い直したものだが、全体的にシャープで小気味良くなったアレンジの洗練ぶりは冒頭の“Are You Ready”だけでも明白だ。マイケル×クインシーへの意識も強まり、AOR目線でも楽しめるスムースな好盤と言えそう。 *出嶌

 

ふたたびナイジェル・マルティネスと組んだエピックでの2作目は、単独作の曲が増え、ヴォーカルも逞しくスケールアップした。ジョシー・ジェイムスともペンを交えた表題曲など洗練されたアーバン・ソウルが黒い艶を放ち、EW&F風のホーンも活躍。オーシャンのトリニダード・ルーツを改めて伝えるカリプソ風味のディスコ・ファンク“Calypso Funkin'”やレゲエの“Mind Games”も快調だ。 *林

 

BILLY OCEAN 『Suddenly』 Jive/Cherry Pop(1984)

大ヒットした“Caribbean Queen(No More Love On The Run)”を含むジャイヴでの初作。シンセ・ベースを担当するキース・ダイアモンドの制作で、バリー・イーストモンドも鍵盤で参加した楽曲はカシーフに通じるミドル80sのNYサウンド感が強く、ファンク・ロックな“Loverboy”やセンティメンタルなバラード“Sud­denly”なども含めてダイナミックなヴォーカルで乗りこなす。 *林