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1. Romy “Lifetime”
Song Of The Week

田中「今週はこの曲っきゃないでしょう! The xxのメンバーとして知られるロミー・マドリー・クロフトによる〈ロミー〉名義でのファースト・シングル“Lifetime”が満場一致で〈SOTW〉に選出されました!!」

天野「満場一致っていったって、僕と亮太さんの2人ですけどね……。実際、今週はひさしぶりに、珍しく2人の〈今週の一曲〉が一致しました。推進力に満ちたビートとロミーのパワフルなヴォーカルに踊らずにはいられない。アップリフティングでポジティヴな最高のダンス・ナンバーです!!」

田中プレス・リリースにも、17歳の頃からDJをしているという彼女のクラブ・カルチャーへの思慕と愛が詰まった楽曲、と書かれていましたね。僕としては、90年代後半から2000年代前半、特にミレニアム前後のテクノやプログレッシヴ・ハウスなどを想起させる曲だと思いました。あの時期の、ひたすらにオプティミクスティックで未来への希望に溢れていたダンス・ミュージックのヴァイブスを、2020年のこのタイミングで蘇らせてくれるとは思いませんでしたよ」

天野「ロンドンがロックダウンされていたときにレコーディングされたらしいですから、その閉塞感を前向きな力に転化したのでしょう。〈もしあなたが孤独で/道を見つけられなかったとしても/この世界が終わったときには/私はあなたと一緒にいる〉というリリックからもわかるように、友人や家族、愛する人たちとの再会を歌った楽曲になっています」

田中「〈人生でただ一度だけ/私はあなたのそばにいるでしょう/あなたは私のそばにいるでしょう〉というフレーズがもう……。ダンスフロアのかけがえのない瞬間を切り取ったフレーズに、涙が止まりません」

天野「ちょっと、泣かないでくださいよ! とはいえ、ノスタルジーに浸るだけの楽曲でないですから。クレジットを見てください」

田中「The xxの盟友であるジェイミー・xxに加えて、フレッド・アゲイン(Fred again..)とマルタ・サローニ(Marta Salogni)が参加していますね。サローニは、前々回の〈PSN〉で取り上げたポリッジ・レディオの新曲“7 Seconds”にも貢献していたイタリアのヴェテランです」

天野「今回はフレッド・アゲインに注目してください。エド・シーラン『No.6 Collaborations Project』ストームジー『Heavy Is The Head』に携わっている売れっ子で、BTSの“Make It Right”(いずれも2019年)にも関わっているんです。今年はUKドリルの顔役的なラッパー、ヘッディ・ワン(Headie One)とのコラボ作『GANG』が最高でした。フレッド・アゲインは、いまの英国シーンでもっとも注目すべき若手プロデューサーのひとりでしょう。彼の名前は覚えておくべきですよ。あと、ロミーとX-girlとのコラボ・アイテムもクールなので、ぜひチェックを!