写真:三浦麻旅子

 そんな血と耳の興奮を一瞬沈めてくれるのが中盤、ナビゲーターの小山薫堂が進行し、音楽監督・武部と本日の主役・鳥山の〈40年間の想い出〉をふり返るトークコーナーだ。(内容はネタバレとなるので詳細は省くが……)ここでもう一人呼び込まれるのが、武部/鳥山が〈最も思い出深い共演ステージ〉を問われた際に揃って答えたコンサートの参謀である松任谷正隆。主役にとって〈最も頭の上がらない慶応の先輩・後輩同士〉と紹介されて登場する場面も面白いが、注目すべきは一緒に奏でる“Seven Miles Bridge”のほうだろう。じつは鳥山からの依頼で書き下ろされたという同曲の作者はユーミンであり、〈とても難しい作品〉が松任谷由実による作曲だったとは大先輩も長年知らずに来たという所縁のある作品だ。ゆえに先輩は今回が初演奏、後輩の鳥山もステージでは初演奏、両者にとって初競演となる話題の1曲となった次第だ。聞けば、最近の、英国ロンドンのクラブシーンでは1980年代の鳥山作品が〈バレアリック(Balearic:夕陽の海に似合う黄昏サウンド、的な意味らしい)〉と呼ばれて人気なのだとか。日本国内でも2020年11月3日(火・祝)の〈レコードの日〉に、83年発表のサード・アルバム『YUJI TORIYAMA』がアナログ盤で復刻されるなど同世代の聴き手のみならず、若い令和世代をもトルネード奏法で魅了しそうな勢いだ。ステージはこの後、〈with ブレッド&バター〉で鳥山のカッティングが映える“ピンク・シャドウ”、松任谷夫妻も参加して“あの頃のまま”を!! 続いてユーミンの“中央フリーウェイ”の後は、葉加瀬もMCで呼び出されて、そのまま〈由実&太郎の初共演 feat. 雄司〉という豪華布陣による“やさしさに包まれたなら”が披露される。高中正義からの祝辞ビデオ(+過去ライブ映像)も必見だ。それこそ今から鳥山サウンドに触れるという方々には、この天才アーティストの航跡と進化を止めない最新の世界観が豪華に真空パックされたような、今回の配信プログラムが最良のショーケースとなるだろう。Happy 60!

 


LIVE INFORMATION
鳥山雄司〜Happy60〜
有料配信 視聴期間:2020年10月30日(金)18:00〜2020年11月6日(金)23:59
視聴チケット:4,500円
視聴チケット(公演オリジナルパンフレット付き):6,500円
出演者:鳥山雄司/葉加瀬太郎/松任谷正隆/松任谷由実/ブレッド&バター
ナビゲーター:小山薫堂
プロデュース・音楽監督:武部聡志
スペシャルバンド:神保彰(ドラムス)/Tomo Kanno(ドラムス)/須長和広(ベース)/遠山哲朗(ギター)/武部聡志(キーボード)/和泉宏隆(キーボード)/本田雅人(サックス)/今井マサキ(コーラス)/加藤いづみ(コーラス)
主催:WOWOW/ワイズコネクション/キョードー東京/電通ミュージック・アンド・エンタテインメント
企画制作:WOWOW/ハーフトーンミュージック/ワイズコネクション
お問い合わせ:https://livelovers.jp/contact/
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