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1. Sevyn Streeter feat. Davido “Kissez”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉は、セヴン・ストリーターがダヴィドをフィーチャーした“Kissez”! これは最高ですね。アフロビーツの勢いを感じる一曲です。アフロビーツについては、9月に当連載でウィズキッドの“No Stress”を紹介したときに詳しく語りましたので、そちらをぜひご覧ください」

田中「セヴン・ストリーターは、アリアナ・グランデやアリシア・キーズ、ブランディーなど、R&Bシンガーたちの楽曲のソングライターとして知られていますよね。もともとはTG4やリッチガール(RichGirl)というガール・グループのメンバーとして活動していて、〈セヴン(Se7en)〉の名前で知られていました。2012年以降はソロでも活躍しています」

天野「重要なのは、ここでフィーチャーされているのがアフロビーツのスターであるダヴィドだということです。以前、ポップカーンとの“Risky”という曲を取り上げたときに紹介したとおり、ダヴィドは英米ナイジェリアを転々としてきたナイジェリア系のシンガー。彼が昨年発表したセカンド・アルバム『A Good Time』は傑作でしたね。今年の9月には“FEM”というシングルを発表していて、そちらもかっこいいです」

田中「そんな2人による“Kissez”をプロデュースしたのは、メルヴィン・ムーアことワンインザ4レスト(OneInThe4Rest)と、ボンゴことボンゴ・バイザウェイ(Bongo ByTheWay)。ボンゴはゲームの『The Documentary 2』(2015年)など、ヒップホップ/R&Bのシーンで活躍するプロデューサーですね。サウンドは、これぞアフロビーツといった感じの軽やかなギターとビートが特徴。艶やかに歌うセヴンと、力強く歌い上げるダヴィドのヴォーカルの絡まり合いも聴きどころでしょう」

天野「アフロビーツのいいところって、〈低音競争〉みたいになっているトラップ以降のプロダクションとは一線を画する音作りですよね。もちろん、この“Kissez”も中音域が強調されていて、スムーズかつダンサブル。キックが強調されてビートの雰囲気が変わるのは、アウトロにだけです。アフロビーツの旨味を感じられる、素晴らしい曲だと思いました。今週リリースされたマセーゴの新曲“Silver Tongue Devil”も思いっきりアフロビーツでしたし、セヴンがアフロビーツに挑んだこともこのジャンル/スタイルの勢いを証明することになっていると思います!」