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――“蛍火”はどこか懐かしさと寂しさを感じます。コンセプトストーリー内で描かれている〈奪われた時間〉がモチーフになっているのでしょうか。

「そうですね。花から胞子が舞い、人々の奪われていく時間が光となって舞い上がっていく光景を描いた曲です。時間って思い出だと思うので、子守歌のような懐かしい響きをイメージして作りました」

――“真夜中に咲く花”は幻想的であり少し怖さを感じます。

「アルバム全体の流れとストーリーの流れとして、サウンド的にスパニッシュさとシネマティックな雰囲気の楽曲を入れたいと思っていました。真夜中に咲く神秘性と、時間を奪っていく悲壮感をイメージしていますね」

――“New"Today” ”は切なくも前向きなメッセージ・ソングですね。この曲もアルバムのキーとなる楽曲のように感じます。

「そうですね。物語の世界では、今日が繰り返されているとみんな思っているんですが、じつは繰り返されているわけではなくて。ちゃんと違う今日が来ているんです。でも、それが違う今日だと気づかないし、時樹の人が気づかせないようにしていたんですね。日々過ごしていくなかで、状況が変わっても本当は〈毎日が新しい今日の連続〉だということに気づくことが大事だと僕自身が感じました。小さな1歩を踏み出したことによって、世界は違って見えるかもしれないし、見方によって物事をプラスに変えることができるかもしれないという〈希望〉を伝えたかったんです」

――歌詞も物語の主人公の僕の成長を感じ取ることができますね。

「〈大変な時こそ小さくてもいいから1歩踏み出してみようよ。ちょっとした気づきをお互いに見つけていこうよ〉という僕なりのメッセージを込めました。この曲は僕にとっても、大事な曲になりました」

――アルバムの最後を飾る“おかえり”は心がホッとするバラード。1日の終わりの疲れた心に染み渡ります。聴くと、また明日からもがんばろうと思えます。

「ホッとすると思っていただけたら嬉しいですね。この曲は、物語では描いていないその先の未来を思って作りました。〈今は不安で見えない日々も、いつか必ず終わりを迎えてその先にある、あたたかい未来に繋がっていくよ〉というメッセージを込めています。なので、ファンの皆さんの前で歌いたい曲です」

――話は変わりますが、AKIHIDEさんがホッとする癒しがあれば教えてください。

「最近、カメラにハマりまして。レンズをネットショッピングで検索したり買ったりして〈今日は何を撮ろうかな?〉と考えている時間が癒しですね」

――どういったものをよく撮られているんですか?

「花を撮っています。マクロレンズで撮っているのですが、肉眼で見えない世界を見ることができるので、とても楽しいです」

――今回のアルバムはAKIHIDEさんにとってどんな一枚になりましたか?

「僕自身が1歩踏み出せて前を向くきっかけになった作品です。この作品が、聴いてくださる方の1歩を後押しできるような存在になれたら嬉しいなと思います」

――11月14日から初の試みとなる配信ライブツアーが始まっていますね。内容やコンセプトについて、今の段階で伺える範囲で教えていただけますか?

「本当は11月に、最近コンスタントに開催していたNAKED MOONツアー(※完全ソロで行うライブ)を開催する予定でした。でも、この状況下で開催が難しくなってしまって。でも今回、新たに『L∞P WORLD』という作品が生まれて、何としてでも皆さんにお届けしたいと思い、配信ライブツアーを敢行することに決めました。僕がお送りする場所や、皆さんの見る場所は同じかもしれませんが、毎回テーマを決めてセットリストはもちろんセットなど、その一夜、一夜で違った見せ方をして、本当に4か所一緒に回っているような雰囲気でお届けできればと考えています」

――四夜すべて観ると『L∞P WORLD』の世界が堪能できるという感じでしょうか?

「そうですね。一夜だけでも楽しんでいただけると思いますが、トータルで観ていただけるとより『L∞P WORLD』の世界を感じていただけるのではないかなと思います」

――さらに今作を引っ提げて12月にクリスマスライブの開催が決定しましたね。久しぶりにお客さんの前で演奏することになりますが、今の率直な気持ちを聞かせてください。

「この先の未来に繋げるために、どうしても2020年の最後にファンの皆さんとお会いして直接、想いを届けたいなと思っています。いろいろと厳しい状況ではありますが、来ていただいたお客様が安心して、笑顔でライブを楽しめるように万全な対策をして挑みます」

――今後、AKIHIDEさんがチャレンジしてみたいことを教えてください。

「前から大自然の森林の中や、星空の下でライブをやりたいと思っています。いま、配信という新しいエンターテイメントの楽しみ方が普及してきて、ミニマムなチームワークで出来ることがたくさんあるなと感じています。なので、今のうちに自分が出来ることを増やしておこうと思っています」

――これから先の活動も楽しみです! では、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

「こういう状況になり、皆さんたくさんつらい思いをされていると思いますが、僕の音楽が少しでも皆さんの〈明日への一歩を踏み出す勇気〉を与えるきっかけになれたら嬉しいです」