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1. 出身地と音楽活動を始めたきっかけ(バンドであれば結成のいきさつ)について教えてください。

「出身は茨城県です。4歳からピアノを習っていて、一度辞めた後もなんとなく音楽を続けて、作曲してみたりしてて、だんだんバンドを組みたいって思うようになっていったんです。それで将来的なことも考えて、DAWとか機材とか少しずつ揃えながら2015年頃に本格的にそれらを用いた音楽制作を始めました。その後2016年ごろから約3年バンドで活動しました。

いろんなジャンルを試行錯誤していく中で実力不足を感じることも多くて、納得できる作品も出来なく、活動もできずにいました。雲行きがあやしくなってきたくらいからある程度納得がいく結果が出せなければ、一旦バンドをやめて音楽の勉強をしなおして音楽大学に進学後リベンジしようって決めていて。結局結果も出せずそれでバンドをやめたんです。

その後音楽の勉強をしながら自分らしい音楽を追求しようと思っていろんなアプローチで実験したりいろんなジャンルの音楽を作ったりしてました。いろんな音楽を作っていくなかで自分のスタイルも見えてきて“meltdown”を作ったあたりで自分の作りたいものが見えてきて。

tofubeatsが好きだった影響でバンドをやってた頃からトラックメイクをちょくちょくやっていて、バンドに対する不自由さも感じていた時期に、バンドと並行してソロプロジェクトという形で自由に音楽活動をする計画をしていました。ソロでの活動に興味もあって、ちょうど自分はバンドよりも自由に出来るソロの方が向いてるって感じたので本格的にソロをメインで活動を始めました。今でも縁があればバンドをやりたいって気持ちもあるはあるんですけど、ソロでの活動はずっと続けていきたいと思っています」

2. 現在の音楽性に影響を与えたと思うアーティストや楽曲は?

「音楽制作を始めるにあたって最初に影響されたのはSEKAI NO OWARIです。ピアノをやめてすぐにハマってずっと聴いてました。DAWを使い始めたのも最初はSEKAI NO OWARIのシンセとか打ち込みのサウンドに惹かれていた部分が大きかったです」

「今のスタイルに直接的に影響を受けたと感じるのはtofubeats、雨のパレードぼくのりりっくのぼうよみサカナクションshowmoreLUCKY TAPESとかです。そのなかでもソロプロジェクトを始める要因の一つになったtofubeatsの影響は大きかったです。tofubeatsの曲はどれもすきですけど特に“朝が来るまで終わることのないダンスを”と“No.1”がめちゃくちゃ好きです。最近はchill系を多くつくってるので、海外のを聴きあさってます」

3. 今回TOWER DOORSで紹介した曲はどんなふうに生まれた曲で、どんなことを表現していますか?

“Petrichor”

「ソロでの活動を本格的に始めてからchill系の曲を多く発表していたのでタイミング的にも少し違う一面をみせたいと思って制作に取り掛かりました。前からバンドの要素をソロの形態に落とし込んだものを作りたいと思ってて、前だと自分のスタイルが見えない部分があって躊躇していたのですが、自分のスタイルがある程度見えてきた今のタイミングならできるかなって思ってリリースを決めました。

曲では夏の終わりの寂しさと雨の寂しさの2つが感覚的に似ているように感じ、これらを中心に楽曲制作をしていきました。小さな頃の記憶や思い出などを匂いを通じて思い出した経験から、匂いと最初に決めた雨の寂しさ、そこから雨の匂い〈Petrichor〉をタイトルに決めました」

4. 交流のあるアーティストでいま注目しているのは?

「交流ある現役のアーティストがあまりいないです。交流したい」

5. TOWER DOORSは新しい音楽との出会いを提供することをコンセプトとするメディアですが、あなたが最近出会った新しい音楽は?

「最近めちゃくちゃきいてるのがアイスランドのDaði Freyrなんですけど、めちゃくちゃいいです。“Think About Things”って曲のPVの空気感もすごい好きです」

6. ライブやリリースといった今後の活動や、やってみたいことなど、これからの展望について教えてください。

「今年中にフル・アルバムのリリースをしたいですね。間に合えば。あとちゃんと時間と予算を用意してPVを作りたいです。最近聴いていただける機会やコメントをいただける事が増えてきて、もっと沢山のひとに僕の音楽を届けたいです。コロナの影響で全然ライブが出来てないんですが、オンライン・ライブとかのオファーがあれば可能な限り受けていきたいです」

 

ソロ活動を始めたきっかけがtofubeatsであることや、楽曲制作でSEKAI NO OWARIから大いに影響を受けたことには、とても納得しました。菅谷諭杏のエレクトロニック・ミュージックに対する姿勢やポップセンスは、たしかに彼らに通じるものがあります。菅谷諭杏は今後、tofubeatsやSEKAI NO OWARIに続いてJ-Popの最前線に立つアーティストになるのではないでしょうか。

また今回紹介した“Petrichor”は、「少し違う一面をみせたい」というコメントのとおり、これまでの楽曲と比べると、より鮮やかでポップに仕上がっています。「今年中にフルアルバムのリリースをしたい」という言葉にも、期待が高まりますね。

また、菅谷諭杏の音楽にビビッときたミュージシャンは、ぜひSNSなどで連絡を取って交流を深めてください! 孤独に音楽を制作している彼が他のアーティストと共演・共作した楽曲も聴いてみたいです。