転機の『THE ORIGINAL III』以降に生まれたDJ PMXのチェックすべきプロデュース・ワークたち!!

 ソロ・アクトとして〈THE ORIGINAL〉シリーズを推進する以前から、DS455(活動休止中)やOZROSAURUSらと数々の名仕事を残してきたDJ PMX。90年代初頭からの長~いキャリアを振り返ればECDやBUDDHA BRANDらのクラシックにまで遡れるわけだが、ここでは大きな転機になった『THE ORIGINAL III』(17年)前後からのプロデュース仕事を簡単に紹介しておこう。

 まずは自身の主宰するDBL MUSICの動きだ。『THE ORIGINAL III』で抜擢された山形のDIABLOをはじめ、若きシンガーのKOHKI、宮崎の2MCコンビONE-G、再始動したGHETTO INCらがコンスタントにPMX製の楽曲を配信。一部は彼の監修したコンピ『IITIGHT MUSIC PRESENTS HIT THE CITY』シリーズで聴けるが、今回の『THE ORIGINAL IV』に続編が入ったMr.Low-Dの“MEDICINE”(18年)やONE-Gの『ENDLESS SUMMER EP』(19年)など注目作も多いので、いずれはフィジカルでまとめられることも期待したい。

 その一方、『花水木』以降の作品にすべて関わっているGADOROや初作『MIND OF LEGEND』(18年)を総合制作したDaia、“IN MY HOOD”(18年)を提供したMC TYSON、cak73の“MY LIFE”(19年)、長い縁となったKOWICHIの“Everyday's Flyday”(19年)といった『THE ORIGINAL IV』出演組との仕事も充実。それ以外にもスタイルや地域性などは不問で、WILYWNKAの“Soul One”(18年)やサイプレス上野とロベルト吉野の“Yokohama La La La”(18年)、NITS aka N°22の“今夜だけは”(18年)、阿修羅MICの“Choice One”(19年)、韻踏合組合のSATUSSY×遊戯による“Freeway”などなどを聴いてみれば、現在進行形のPMXサウンドが従来の一面的なイメージとは違う境地で鳴っていることもわかるだろう。

 もちろん、MACCHOと久々に絡んだANARCHYの“Rollin'”(19年)のように、自身の求められるものも理解しながら新しいスタイルを開拓しているのがPMXの頼もしいところ。追って届く詩音の新作『ALTER EGO』でも数曲を手掛けているようで、この先はより多方面から彼のビートが耳元に迫ってくるはずだ。 *出嶌孝次

DJ PMXのプロデュース・ワークを含む近年の作品を一部紹介。