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――ご自身の作品がダブプレート(レコード)として目の前で出来ていく過程を実際に見て、どのように感じましたか?

「いままで自分の曲がレコードになったことがないので素直に嬉しいのと、レコードが制作される過程を見ることができておもしろかったです。

最初、レコードにするときに〈音がちゃんと乗るのか〉とか、少し不安でした。でも制作過程を見てたら、〈こういうふうなんだな〉とか〈これからここを意識してがんばろう〉って思いました」

――EPのタイトル〈Fragile〉には、どのような想いを込めましたか?

「宅急便に貼られている〈割れ物注意!〉みたいな感じです。

当初タイトルを考えるのを忘れてしまって(笑)、今回レコードにする前に〈考えてください〉と言われて、〈あ、どうしよう……〉とそこから悩みました。今作は4曲それぞれちがった曲が入っているし、それをレコードというデジタルではなくちゃんとした〈モノ〉で(リリースする)。(レコードは)傷つくモノだから、〈大切に扱ってね〉という意味を込めて『Fragile』にしました(笑)」

――今作を制作しているなかで苦労した部分はありますか?

「A面には新しい曲が2曲入っているんですけど、どちらもいままでやっていなかったような曲の展開を意識して制作を行いました。

トラックに関しては自分で4曲全部作っていますが、特に2曲目の”Sixth Sense”は、フィーチャリングにカルロスまーちゃんを入れたり、彼女と一緒に歌詞考えて歌ったりしました。

B面はいままで作った楽曲なんですど、それと比べるとA面は音の量が多いというか、トラックが密になっています。そのトラックを整理して調理するのが自分は慣れてなくて、今回は大変でした」

――収録曲の“Sixth Sense”でカルロスまーちゃんをフィーチャリングしたきっかけについて教えてください。

「もともと、〈これから(の活動)も含めて一緒に曲をやれたらいいね〉という話になっていまして。この“Sixth Sense”でやろうとなったきっかけは、この曲のテーマが人間の無知さに対する自分たちの視点で、これに関してまーちゃんとは考えていることとか価値観がわりと似ている部分があって、今回のフィーチャリングに繋がりました。あとは曲の歌詞を聴いてたしかめてみてください(笑)」

――“Sixth Sense”のトラックはどのような過程で出来たのでしょうか?

「トラックは、ほとんど1日で制作しました。その日の勢いを出した感じです。今回の収録曲のなかでいちばん考えていないかもしれません。出来上がりも想定せずに、〈ここでこの音が入ったら気持ちいいな〉というのを順々にやっていったら出来てしまった曲ですね」

――“Bird’s-eye”について、歌詞に込めた想いとサウンドについて教えてください。

「この曲は、〈俯瞰〉というのを英語に訳したらこのワードがあったので、タイトルにしてみました。〈自分のことを俯瞰してみる〉という意味を込めています。

トラックは、もともと自分で作っていた古いデータから引っ張り出して、復活させました。当初はイントロの部分がずっと続く感じだったのですが、途中で〈コーラス入れたいな〉とか〈アコギ入れてみようかな〉とか、いままでやってこなかったことをやろうと思いはじめました。最終的にどこにたどり着くかわからないけどやってみようという感じで、自分のなかでは実験的な意味も込めて制作しました」

――今作『Fragile』で全体的にこだわった部分は?

「歌詞に対して、いままで自分のなかではこだわりがなくて。今回は、自分の内面と向き合ってみて、自分が大切にしている価値観とか〈自分を俯瞰してみる〉というのをA面の新しい曲に込めてみました」

――いつも音楽を制作するうえで心がけていることはどんなことでしょうか?

「最初の頃から歌いやすい楽曲を作りたいなと思っています。最初、歌詞がないときに口を母音(あいうえお)の状態にして、いちばん歌いやすい口の形をそれに当てはめて、それに合った単語をはめてみて、辻褄を合わせていくというのをやっていました。

僕はよく鼻歌を歌っているんですけど、その鼻歌を歌っているときに、鼻歌だけで一曲出来ちゃうときがあったのですが、それくらい日々ずっと鼻歌を歌っている、みたいな。

そのメロディーとかもボイスメモに残しておいて、そのなかで組み合わせてみたり。そういうことをやったり、いろいろ、どこから曲が生まれるかわからないですね」

――今後音楽的に挑戦したいことは?

「本当に極端に音数が少ないものとか、ビートがないやつとかをやりたいですね。あとは、ゴスペルも好きだから挑戦したいです。親がWhitney Hustonを好きだったり、母が一時期ゴスペルをやっていたので、ゴスペルにはわりと小さい頃から触れていました。自分はそのときぜんぜん音楽を聴いていなかったのですが、あとで思い返してみれば、母がやっていたなとか、自分もゴスペル好きだなとか思って。教会音楽が好きなので、そういうのをやってみたいなと思います。

あとはもう少し日本に古くから根付いている音楽を自分たちでポップスに混ぜ込んでいけたら本当は理想なんだけどな、と感じています」

――最後に今後の展望や野望について教えてください。

「売れて、地元を盛り上げて、めっちゃ豪邸建てて(笑)。無料でDAW使えて、子どもたちがそこで作曲できるような環境を地元に作りたいです。自分が子供の頃にそういう場所があったらとてもよかったなと最近思うことが多いので」

 

「もう少し日本の古くから根付いている音楽を自分たちでポップスに混ぜ込んでいけたら」という答えに、zzzのポップスに対する思いを感じることができました。今作も、その歯がゆさを日頃の作品制作に落とし込んで作り上げたのでしょう。

インタビューで語っているように、zzzが新しいサウンドやリリックの表現に挑戦したことが感じられる新曲を収録した『Fragile』のA面は、これまでのレトロ・ポップとは異なる素晴らしい楽曲になっています。ぜひこの12インチ・レコード(ダブプレート)をタワーレコード オンラインで手に入れて、zzzの新しい音をたしかめてみてください!

 


RELEASE INFORMATION

zzz 『Fragile』
価格:4,000円(税抜) 
品番:SSTD-002
仕様:受注生産限定12インチ・レコード(ダブプレート)
受注期間:2020年11月25日(水)~12月13日(日)まで
発売予定日:2020年12月25日(金)
★販売リンクはこちら

TRACKLIST
1. Bird’s-eye
2. Sixth Sense(feat. カルロスまーちゃん)
3. 出港まで
4. イルネス

 


PROFILE: zzz(ズズズ)

日本のシンガー・ソングライター/トラックメーカー/プロデューサー。2018年に岐阜のネット・レーベルのTANUKINEIRI RECORDSからEPを発表し、DIY的な活動を展開してきた。現在は東京に拠点を移し、楽曲リリースやプロデュース活動など精力的に取り組んでいる。目標は音楽で豪邸を建てること。

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