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Meet Me @ The Altar


田中「フォール・アウト・ボーイやパラモアを輩出してきたポップ・パンクの名門レーベル、フュエルド・バイ・ラーメンが送り出すニューカマー、ミート・ミー・アット・ジ・オルター! 甘酸っぱさの漂う痛快なパンク・サウンドが最高ですね。テクニカルなメタルの要素もありますし、これは思春期にポップ・パンクやニュー・メタルにハマっていた天野くんの大好きなラインでは(笑)。ピンクのドレッド・ヘアがキュートなフロントウーマン、エディス・ジョンソン(Edith Johnson)のヴィジュアルにまず目がいきますが、他のメンバーも黒人やアジア系で、編成からしてフレッシュ。今年の〈サマソニ〉で観たい!」

 

KALI


田中「カリ・フラナガン(Kali Flanagan)によるソロ・プロジェクトのカリは、2020年の11月にデビュー・シングル“Back To The Start”をリリースしたばかり。驚くことに、彼女はまだ16歳です。ドリーミーで優雅な“Back To The Start”はシンセ・ストリングスやダイナミックなギターを使ったアレンジが凝っていて、この曲を聴くだけでも彼女の類まれな才能が窺えます。ちなみに、彼女は幼い頃からビートルズをカヴァーしたり音楽のプライヴェート・レッスンを受けたりしていたそうです。また、インディー・ポップ・バンド、ビッグ・ウェンズデー(Big Wednesday)のメンバーでもあって、地元LAのティーンの間ではなかなか人気があるみたい。今年のベッドルーム・ポップ・シーンにおける最注目のニューカマーと断言します!」

 

glaive


田中「次はなんと15歳の少年、グレイヴです! 米ノースカロライナに暮らすアッシュ・グティエレス(Ash Gutierrez)は、COVID-19のパンデミックを受けて音楽制作を始めたそうです。外出ができないなか、何気なく見ていたインターネットで有名無名のプロデューサーたちを見つけ、自分でも音楽をやりたくなったんだとか。サウンドはエモ・ラップやグリッチ・ホップ、ハイパーポップの要素が強く、基本的に2分に満たない楽曲の短さもイマっぽい。リリックのテーマは、理由のない怒りや自殺念慮といった10代ならではの悩みや葛藤を映し出したもの。もしかしたら彼の曲は、今後〈世代の声〉になっていくのかもしれません。ちなみに楽曲を完成したら、まずお母さんに聴かせているそう。微笑ましいですね」

 

Skullcrusher


天野「スカルクラッシャーことヘレン・バレンティーニ(Helen Ballentine)は、僕が以前から注目していた才能です。NY生まれ、LA在住のSSWの彼女が初めて作曲したのは、2019年の“Places/Plans”。キャリアはまだ1、2年しかないのに、USインディーの名門シークレットリー・カナディアン(Secretly Canadian)と契約しています。天才なんでしょうか……。70年代のアシッド・フォークのような幽玄なサウンドと透き通った歌声、パーソナルな表現からは、アメリカの奥深い森を想起します。2021年、もっとも注目すべきインディー・フォークの新鋭でしょうね。初期のボン・イヴェールやスフィアン・スティーヴンス、ジェシカ・プラットなどを重ねてしまいますし、これからものすごいアーティストに成長していくのではないでしょうか」

 

Claire Rosinkranz


天野「昨年、TikTokに投稿した“Backyard Boy”が運命の一曲になったクレア・ローゼンクランツ。カリフォルニア生まれ、弱冠16歳のSSWです。なんの気なしにTikTokにポストしたという同曲は瞬く間にヴァイラル・ヒットし、彼女はなんとメジャーのリパブリックと契約を交わしました。まさにTikTok時代のシンデレラ・ストーリー! その曲を聴いてもらえればわかるとおり、ものすごくささやかで手作り感あふれるベッドルーム・ポップなんですよね。軽快でファニー、キュートで明るい“Backyard Boy”は、コロナ禍に見舞われた世界で清涼剤のように響きます。2020年のEP『BeVeRLy Hills BoYfRiEnD』に続くデビュー・アルバムが待ち遠しいです」