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不安しかない

――収録曲は、〈火山盤〉に入ってた曲もあるし、Eggsに載せてた曲もあるし、新曲もありますよね。それはなんでこの13曲になったんですか?

宮川「“右往左往”は〈火山盤〉にも入ってたんですけど、自分の中でやりたかったことができてた曲で。それも川井ちゃんが加入してくれたから実現できたんです」

“右往左往”のライブ映像
 

川井「“右往左往”がきっかけで、さっき言ったみたいに自分がガキの頃好きだったような曲を作ろうって話になったよね。そこから曲を作っていったから、自然とそういうテーマに沿ったものを選んでいったんだと思います」

宮川「アイドルズとかフォンテインズD.C.とかシェイムとか、今のサウス・ロンドンのパンク・シーンみたいなね。ああいうバンドが受け入れられてる土壌がうらやましいです。日本のバンドは全部ダサくて大嫌いで(笑)」

――それはよく知ってます(笑)。今になってようやくやりたいことができるようになってきた、と。

川井「そうですね。素直になってきたのかな」

――BurnQueはイギリス行ったらウケるかもしれないですね。

宮川「あっちにも音源を送りつけようかなとか思ってたよね。でもその前に、日本の友達に音源を送っても誰からも反応がなくて、〈これ、もしかしてコケたか?〉って思ってます(笑)」

――何言ってんですか(笑)。たしかに〈火山火山言ってた頃からは変わったな〉とは思いましたけど、ちゃんと聴けば〈おっ?〉と思うはずですよ。

宮川「こっちは〈今回はヤバいやつ作っちゃったな~〉って思って送ったのに」

川井「俺もそうで。さっき名前を挙げてたシェイムの新譜(『Drunk Tank Pink』)と聴き比べてもBurnQueは遜色ないなって思ったし、もう聴きすぎて飽き始めてるくらいで(笑)。だから何の反応もないのはショックですよ」

――あと、2020年ってナマのギターの音を全然聴かなかったんですよ。だからみんな、こういうパンク・ロックで盛り上がる感じを忘れちゃってるんじゃないかなあ。

宮川「ああーなるほどね。日本でカッコいいバンドってみんなギターがうるさくないんですよ。で、結局フィッシュマンズに辿り着いちゃうし」

――よく、出来上がってからリリースするまでの間ってドキドキするって言いますよね(※このインタビューはリリース前に行われた)。

宮川「今までは録ってすぐリリースしてたから余計にね。アルバムも初だし、全国流通も初で」

――全国のタワーレコードでもお買い求めいただけます(笑)。その辺はどうですか?

宮川「普通に嬉しいです。これで奥さんの実家でもミュージシャン面できる。イオンにCD置いてあるかなあ。誰が買うのかな、売れないよね(笑)。リリース前に不安しかないっていう」

――ヤバいやつが出来たのに、何かモヤモヤしてるんですね。

川井「誰からも反応がないからですよ」

宮川「『春』の時のインタビューはもっと熱かったのにな。それか、『春』で強く意気込んでリリースしたのにコケたっていうのもあるかもしれない」

川井「『春』は出来てすぐ録ったから、〈これを出したらイケる!〉っていうのはありました。もちろん今作でもそう思って録ったんですけど、それは今、あの時と状況が変わってないっていうのもあるかもしれないです」