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2つの悲劇

もう25年も前の話なので、どういう悲劇が起こったかということを簡単に書きますと、94年に2パックがレコーディング中のビギーを訪れます。しかし、その街のギャングと思しき者たちが2パックを襲撃。これをビギーの仕業だと思った2パックはビギーを口撃し出します。これが東西ラップ闘争に発展するわけです。

この後の2パックはレイプ事件を起こすなど(ビギーが〈そいつはギャングだから付き合うじゃない〉と忠告した奴がこの事件の部屋にいた)、人間が変わってしまったんでしょう。そして、96年にラスベガスで自分の仲間に喧嘩を売っていたギャングを見つけ、そいつを殴り倒し、その直後に、何ものかによって殺されてしまうわけです。で、完全にパニック状態に陥っていた西海岸の人たちは、この事件をビギーの仕業だと思うんです。ビギーは〈これは誤解だ、自分が西海岸に行って、事情をちゃんと説明すればみんなわかってくれる〉とLAに向かうわけですが、そこで何ものかによって殺されてしまいました。

夜中とはいえ、2人ともみんなが見ているなかで殺されているにもかかわらず、いまだ犯人は特定されていないとのことで、プロの仕業、ギャングの仕業と言われているわけですが、やっぱりそうとしか思えないですね。

 

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あの頃に戻って、ビギーたちを救いたい

偉大なふたつの才能をこうもあっさりと亡くしてしまった90年代のあの東西戦争は、なんだったんだろう。ビギーが思ってたように2パックもギャングからは距離を取るべきだったなと思います。過去の伝記映画やドキュメンタリーよりもその答えを浮き彫りにしたのが、このドキュメンタリーだったのかなと。本当に悲しいことが90年代にあったんです。

あの頃に戻って、2人を救うドラマが生まれたりしないですかね。ちょっとそんな作品が観たいな、ビギーと2パックは本当に仲がよかったんですよね。2人とも本当にいいお母さんを持っていたのに、なんでこんなことになってしまったんでしょうね。彼らのことを考えていたら、悲しくなるんですけど、このドキュメンタリーは、ラップっていいな、ストリートは残酷だけど、ラップが好きだなという気持ちにさせてくれます。ビギーって本当にみんなから愛されていたラッパーなんです。