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ハッタリかますくらい前向きに

 音楽的な多様性も、本作の魅力。坂本真綾×原昌和の“でも”は、ミクスチャー・ロックの進化型と称すべき楽曲。そして、坂本真綾×内村友美の“sync”は鋭利なビート感が気持ち良いロック・ナンバーだ。

 「原さんは声がいいんですよ。バンアパのCDを聴いていて、〈このコーラスは荒井(岳史)さんではないな。誰が歌ってるんだろう?〉と気になっていたんですけど、ライヴで原さんが歌っているのを観て、〈なるほど!〉と。バンアパのなかで私が最初に知り合ったのも原さんだったし、デュエット相手としても意外でいいなと。
 la la larksには何度も曲を提供してもらっていて、友美ちゃんとは個人的にも仲良くさせてもらってるんです。今la la larksはお休みしてるんですけど、そういう時期だからこそ、普段とはちょっと違う雰囲気の曲で一緒に歌ってほしいなと思って。歌詞については〈ハッタリかますくらい前向きに〉とオーダーしました(笑)」。

 そして、坂本真綾×井上芳雄による“星と星のあいだ”は、自身で作曲を担い、編曲を山本隆二に託したバラード・ナンバー。「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」をはじめ、何度も舞台で共演している二人だからこそ実現した楽曲だろう。

 「芳雄さんは役者として歌っているイメージが強いと思いますけど、すごいのは、若いときからずっとスターでいらっしゃるのに、どこまでも普通なところを持っているところなんです。そういう素の部分を出してもらえる曲がいいなと。あとはクラシカルな歌声が伸びやかに聴こえる曲にしたかったし、大げさすぎるのもよくないな……と、いろいろ考えているうちに、〈これは誰かにオーダーするのは難しいな。自分で書いたほうがいいかも〉と」。