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50年超のキャリアで残した名作の数々はまた今度として……この10年ぐらいのトニー・アレンを代表する作品を紹介!

TONY ALLEN 『Secret Agent』 World Circuit(2009)

ここまでは仏コメットや英オネスト・ジョンズで越境/拡張モードの作品に取り組むことの多かった御大が、ワールド・サーキットから放ったド直球のアフロビート・アルバム。小気味良いファンクネスが延々と粘り続け、熱と中毒性に溢れたリズムに耳を支配される快作だ。

 

JIMI TENOR, TONY ALLEN 『Inspiration Information』 Strut/!K7(2009)

アンプ・フィドラー+スライ&ロビーなどの合体が実現した気鋭×レジェンド共作シリーズのひとつで、フィンランドのジミ・テナーとコラボ。フューチャー・ジャズ志向からアフロビートに傾倒してカブ・カブを結成した頃のジミが御大をバックにグルーヴィーな世界を作り上げている。

 

ROCKET JUICE AND THE MOON  『Rocket Juice And The Moon』 Honest Jons(2012)

すでにグッド・ザ・バッド&ザ・クイーンで絡んだデーモン・アルバーン、レッチリのフリー、そしてトニーによるトリオでの唯一のアルバム。エリカ・バドゥやサンダーキャット、ヒプノティック・ブラス・アンサンブルらも交え、ダブ色も濃い宇宙的ファンク世界を支えるプレイが最高だ。

 

TONY ALLEN 『Film Of Life』 Jazz Village(2014)

ヴィンセント・テーガーらジャズバスターズの面々が制作したジャズ・ヴィレッジ移籍作。トニー本人のソフトな語りを配したファンク“Moving On”からデーモン・アルバーンが歌うサイケな“Go Back”など、ジャズやミニマルを取り込んだ折衷的なアフロビートを聴かせる意欲作だ。

 

TONY ALLEN 『The Source』 Blue Note(2017)

仏ブルーノートに移籍して放ったクールでジャジーな本作が生前最後のソロ名義作となった。同年にリリースしたアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのトリビュートEPも含め、音楽的な源泉への純粋な憧れが大ヴェテランのプレイをフレッシュに響かせている。

 

ANGELIQUE KIDJO 『Remain In Light』 Jazz Village(2014)

ベナンの人気シンガーがトーキング・ヘッズのアフロ・コンシャスな同名名盤(80年)をジェフ・バスカーらと丸ごとカヴァーした意欲作。トニーは“Houses In Motion”に加え、原典とは違ってフェラの“Lady”を組み合わせた“Crosseyed And Painless”でもドラムを叩いている。

 

THE GOOD,THE BAD & THE QUEEN 『Merrie Land』 Studio 13(2018)

仲良しのデーモン・アルバーン、ポール・シムノン(クラッシュ)、サイモン・トング(元ヴァーヴ)とトニーが組んだスーパーグループの、11年ぶりの2作目。英国らしさが見直されたタイミングゆえかブラーっぽさも強いがレゲエにも跨がるタイトでシンプルなドラミングに揺るぎはない。

 

TONY ALLEN, HUGH MASEKELA 『Rejoice』 ADA/World Circuit/BMG(2020)

トニーの生前最後のリリースは、18年に逝去した南アフリカを代表するトランペット奏者、ヒュー・マセケラとの豪華な初コラボ作。10年に一緒に録ったというマテリアルを下地にジョー・アーモン・ジョーンズやムタレ・チャシ(ココロコ)らUKの新世代も起用して仕上げられている。

 

KELEKETLA! 『Keleketla!』 Ahead Of Our Time/BEAT(2020)

コールドカットがUKや南アフリカなど各国の才能とコラボしたプロジェクトの初作で、シャバカ・ハッチングスやジョー・アーモン・ジョーンズと並んでトニーも5曲でドラムスにフィーチャー。80年代以降のフェラを支えたデレ・ソシミと揃って参加しているのもおもしろい。