mica
​photo by あの三谷
 

印象派は近未来Wink?

――そして、3年ぶりとなる5作目のアルバム『スプートニク』が4月28日にリリースされました。ここまで長かったと思うのですが、いかがだったでしょうか。

mica「ほんとに長かった。ずっと早く聴いて欲しかった。コロナでの足止めに関しては、とにかく全員が初めてのことで、戸惑いや葛藤の連続だったけど、色んな人達に助けていただいて、やっとリリースできることが、本当にありがたく嬉しいです」

――ここまでに話を訊けなかった収録曲“ヘンて言葉、キライ”“グッバイ”についても教えてください。“ヘンて言葉、キライ”は乙女ソングだそうですが、印象派の新機軸を感じました。

『スプートニク』収録曲“ヘンて言葉、キライ”
 

mica「“ヘンて言葉、キライ”は、まさにmiuにしか歌えない曲なんじゃないかなぁ? バグってますもんね(笑)!」 

miu「“ヘンて言葉、キライ”は恋に恋してバグっちゃった女の子の曲です。恋にバグったことも、micaちゃんみたいに酒にバグったこともないので、そういう状態に憧れがあるんです! レコーディングはどんな感じに仕上がるか未知だったんだけど、ドラムを切り貼りしたり、今までにない録り方をしました。ヴォーカル録りは肩の抜けた感じを出したかったんだけど、レコーディング・ブースってひとりぼっちでなんか緊張して、私は固くなっちゃうんです。エンジニアの玉乃井さんのアイデアで、みんなのいる部屋で、SHURE58のマイクを使ってハンドマイクで録りました。カラオケみたいで楽しく歌えました」

――“グッバイ”はめちゃくちゃカッコいい言葉羅列系ソングです。

『スプートニク』収録曲“グッバイ”
 

mica「“グッバイ”はもうリハの段階からロックで最強でした。早くライブハウスで爆音で鳴らしたいです! なんか3年ほど共にライブしてきたメンバーとの一体感が一番出た曲だと思います」

miu「“グッバイ”はいろんなことや人にグッバイする曲、わりとぽんと出来ました(と言いながら、レコーディングしながら歌詞を仕上げた)。演奏は、レコーディング当時より今の方がかっちょよくなってるので、ライブでやりたいねえ!」

――miuさんは、Spotifyで〈miumiunow〜音楽的核miuの日常音楽〉という、〈新作アルバムの鍵になった曲や、昔から愛してやまない曲など〉のプレイリストを公開されていますが、アルバムの鍵になった曲と、どういうところが鍵になったのか、教えられる範囲で教えてください。

miu「今もちょこちょこ曲を追加してるのですが、最近追加したLily Chou-Chouは音楽にも、映画『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)にもすごく影響を受けています。Lily Chou-Chouの“グライド”(2001年)は“行列"のインスパイア元で、おこがましくもいつかこんな曲書きたいな〜って思っていたのが始まりです。プレイリストに選んでいる曲は、大好きなアーティストの曲はとりあえず無条件に入れてます(笑)。あとは〈こんな曲……私も書きたい!〉と思ったりしたら入れてます」

――今作を最初に聴いた時の感想をメモしていたのですが、それを読むと〈大人のお姉さんなmicaとキュートなmiuによる近未来Wink〉と書いていました。印象派の音楽からは、80〜90年代の歌謡曲感とか、ビートルズっぽさも感じる一方で、宇宙とか近未来とか、いろんな要素を感じます。お2人が目指す音はどういうものですか?

mica「近未来Wink! 嬉しい!! 結成当初よくWinkみたいになりたいねって話してたよね。どんな曲が出来ても、印象派っぽいねって言われる音を作り出せたらいいなあ」

miu「酒井さん(インタビュアー)のメモがまさに印象派の目指す姿です! すごくミーハーなので、いろんな要素が入っちゃうんですが、その雑味や違和感がおもしろかったり、ハッとしたりすると思うので、アンテナビリビリにしていきたいです!」

 

​photo by あの三谷
 

赤い公園、超尊敬!

――歌詞についても教えてください。統一感がないようである、いろんな言葉や風景が並べられて独特のイメージを湧き起こす曲もあるし、めちゃくちゃ言葉遊びをしている歌詞もあるし、ほろっとしたりほっこりするような歌詞もあります。どういう歌詞にすることを意識していますか?

miu「ディレクターと一緒にテーマを決めて、作品を作ることが多いので、テーマによって歌詞の作り方も違う気がします。歌詞もさっきの話に通じるところがあって、違和感とか意外性とか遊び心を大切にしたいと思っています。例えば“WANNA”に〈トムソーヤの気分で スマホで洞窟照らして〉という歌詞があるのですが、昔の話に現代感を組み合わせるとおもしろいかなと思いました。あと、シリアス×ユーモアのバランスにもこだわりたいなと思ったりしてます。小説のようにそこに物語がある、というのをテーマにしつつ、何か言葉が生まれたら前田ディレクターに送りつけています」

――以前から活動はマイペースでしたが、コロナを含めたいろいろな事情があり『スプートニク』は3年ぶりのリリースとなりました。印象派の今後の活動のペースはどうなっていくのでしょうか?

mica「それぞれの仕事に子育てやコロナ。私生活も含めて状況はこれからもどんどん変わっていくと思います。でも私達は今後も変わらず、マイペースだとは思うけど、発信し続けていけたらなと思っています」

miu「1年後くらいにワンマン・ライブをして、3年後くらいにまたアルバムをリリースするのが目標です!」

――これからも活動を楽しみにしています! 言い足りないことがあればどうぞ!

mica「ありがとうございます! 本当に健康第一。みなさま、どうぞご自愛くださいませ!」

miu「酒井さんも赤い公園の大ファンだそうですね! 私も大好きで、津野さんにとても影響を受けています。実は最近、印象派バンドのみんなで、赤い公園の曲をスタジオで本気で練習したんです。あらためて〈赤い公園やべ〜! 狂ってる! 超尊敬!〉と思いました。そんなわけで酒井さんとお話しできて、とても嬉しかったです。ありがとうございました!」