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Xenia Rubinos “Cógelo Suave”

天野「セニア・ルビノスの新曲“Cógelo Suave”。これ、めちゃくちゃいい曲ですよね。最高のグルーヴ!」

田中「セニア・ルビノスはコネチカット州ハートフォード出身のミュージシャンで、プエルトリコとキューバのダブル・ルーツを持っています。バークリー音楽大学でジャズを学んだそうで、見事なコーラス・ワークなどにそれを感じることができますね」

天野「彼女の音楽性はオルタナティヴなR&B/ファンクといった感じで、所属レーベルのアンタイのなかでも珍しいタイプです。当然サルサ、ルンバ、メレンゲといったラテン音楽からも影響を受けているようで、豊かなリズム感覚はカリブ海由来。この曲は、エリカ・バドゥを思わせるヴォーカルと、ハイエイタス・カイヨーテやエスペランサ・スポルディングにも近いリズム解釈がすばらしいです」

田中「ルビノスは昨年からプロテスト・ソング“Who Shot Ya?”、ヴォーカル・エフェクトが強烈な実験作“Did My Best”とシングルを立て続けにリリースしているので、新作に期待したいですね」

 

AUDREY NUNA “Blossom”

田中「5曲目は、オードリー・ヌナの“Blossom”を紹介。韓国系アメリカ人のシンガーが5月21日(金)にリリースする新作『a liquid breakfast』からのリード・シングルです。2分に満たない楽曲ですが、浮遊感が心地よいR&Bビートと彼女のメロディアスなフロウがたまりませんね。ちょっとボンサグことボーン・サグズン・ハーモニーの“The Crossroads”(95年)を思い出しました」

天野「また古い例を出してきましたね! この“Blossom”は、ヌナの祖母が子どもの頃に経験したこと――戦争中に歩いて戦地から逃れたことなどがインスピレーションになって出来たそうです。アウトロで聴ける韓国語は、祖母の話し声を録音したものなんだとか。サバやジャック・ハーロウらが客演で参加している『a liquid breakfast』、楽しみですね」

 

LVRN feat. 6LACK, Westside Boogie, BRS Kash, NoonieVsEverybody & OMB Bloodbath “LVRN Cypher”

天野「LVRNことラヴ・ルネッサンス(Love Renaissance)はアトランタのレーベルで、ブラックやサマー・ウォーカーが所属しています。Spotifyの巨大ヒップホップ・プレイリスト〈Rap Caviar〉とのコラボレーションで〈Spotify Singles〉として発表されたこの“LVRN Cypher”は、いわばポッセ・カット。超かっこいいです」

田中「まず一発目は、フィメール・ラッパーのOMB・ブラッドバスがヴァースを蹴ります。その後はヌーニーVSエヴリバディ、BRS・キャッシュ、ウェストサイド・ブギーと続き、LVRNの顔と言っていいブラックがトリで締めます」

天野「ひとりひとりのヴァースが長いので、この曲は6分以上あるんですよね。アツい! 〈このラップ野郎どもはマッドすぎる/R&B野郎どもはサッドすぎる〉とホーミーたちを持ち上げるブラックのラインにぐっときました。LVRN、今後も要注目です」