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――では、そのMaltineに関わるようになったのは、どういったことがきっかけだったんですか?

「かつてブログに〈トラックバック〉っていう機能があったじゃないですか。中3くらいの頃、僕のブログを取り上げている奴がいることをトラックバックでわかって。それが山形で引きこもっていたimdkm(いみじくも)っていう奴だったんです。で、彼のブログに行って〈ありがとうございます〉と挨拶してから交流するようになって。imdkmは唯一Maltineで映像作品を発表しているんですが、彼と繋がったことによってtomadが昔やっていた〈DIG@BOOKOFF〉っていう音楽紹介ブログに辿り着いたんです。それがめちゃめちゃおもしろかったんですよ! そうやってリンクしていって、僕とimdkmとtomad、そこに僕と同じ歳のimoutoid(2009年逝去)が加わって、何となくいっしょにいろいろするようになったんです。高1くらいの頃かな。その4人でSTUDIO VOICEの連載を、最後の4巻くらい担当したりして」

imdkm“on the pavement”

――そういう流れだったんですね。

「そのなかで、tomadを除いた関西勢でまともに学校へ通ってたのは僕だけだったんですよ。〈なんで学校行ってるの?〉とか言われたりして、おかしいですよね(笑)。まあ、imdkmはその後京都大学の大学院でアートの勉強を本格的にやりはじめて……」

――京大ですか……。そうやってネットを通じて知り合った仲間とより広く存在を知らしめていくなかで、tofuさんはいち早く昨年メジャー・デビューされましたよね。Maltineを通じて、または個人で作品を発表するのと、メジャーのレコード会社からリリースするのとでは、スタンスの面でかなり違いがあると思いますが、いかがでしょう?

「違いは死ぬほどいっぱいありますけど、そんなに変わってないというか、変わらないようにがんばってるというか、いちばん変わらなくていいレコード会社を選んだ感じでしょうか。ワーナー(現在の所属レコード会社)のスタッフはあまりにも勝手なことをしない限り、基本的には味方になってくれる。そういう意味ではスタッフに恵まれていますね。でもフリー・ダウンロードの音源を出すことについては、そもそもそこに割く時間がなくなってきてます。dj newtown(tofubeatsの別名義。2008年~2009年にMaltineより作品を発表している)のアルバムはだいたい5日間くらいで一枚作ってたんですけど、大学生の頃って暇じゃないですか。でもいまはそういう余裕がないので」

dj newtownの2009年作『high-school girl(we loved)』収録曲“high-school girl (we loved)”

――そもそも物理的に時間がなくなっていると。

「インタヴューを受けたり、ラジオに出たりとか、純粋に音楽に割く時間がなくなった感じで。例えばライヴをやるっていうことは、Maltineにいたら必要ないわけですよ。そこに向けてチューンアップをしなくても良くて、家で自分が作りたいものを作っていればいい。でもメジャーで活動するということは、さまざまなことに他人が介在する率が高くなるわけだし、メジャー・デビューしたらしたで適応はしなくちゃいけないから、作るものも変わってきますからね。そういうのを作りたくないとかではないんですが、ただカットアップした曲を作りたいとふと思ってもそれはできないわけで」