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自分に正直な歌

 そしてご存知のように今年1月に“Drivers License”でデビューを飾り、英米をはじめ世界中のシングル・チャートで長期間に渡って首位を独走。〈やっと運転免許を取ったけど、私はあなたの家の前を通り過ぎていく。まだ愛しているけれど……〉という傷心ストーリーが切々と歌い上げられ、世界中の人々の琴線に触れて共感を獲得。彼女の実体験がベースとなっていることでも話題を呼び、ゴシップ・サイトは元ネタ探しに奔走した。曲の中で歌われる元カレは、「ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル」の共演者ジョシュアではないのか、リリック中の〈あのブロンドの女の子〉とはジョシュアの新恋人と噂されるサブリナ・カーペンターを指しているのではないか――などなど、さまざまな憶測がネット上で繰り広げられたのは、かつてのテイラー・スウィフトのときと同様だ。しかもサブリナがアンサー・ソングらしき“Skin”というナンバーを発表したものだから、これって三角関係じゃないの?と外野は大騒ぎ。とはいえテイラーを敬愛するオリヴィアにとっては、そんな騒動は織り込み済み。「自身にとっていかに正直で誠実な歌を歌うかだけが大切だ」と彼女自身は語っている。

 4月にはセカンド・シングル“Deja Vu”を発表。早くもソングライターとして急成長の痕が見られると絶賛されて、本国USでは引き続きヒット中の“Drivers License”と並んで2曲同時にTOP10入り。これらの曲に関わるダン・二グロが今回のアルバム『SOUR』でも共作とプロデュースを担っている。インディー・バンドのアズ・トール・アズ・ライオンズでフロントマンを務めた彼は、コナン・グレイやカーリー・レイ・ジェプセン、キャロライン・ポラチェック(元チェアリフト)らを手掛ける人で、ロックのエッジ感もバッチリ。赤裸々に綴られる歌詞と合わせて、『SOUR』はアラニス・モリセットの衝撃作『Jagged Little Pill』(95年)を引き合いに語られることも多い。そういえばテイラーはアラニスからの影響を明言しており、一緒にステージ共演したことも。アラニス、テイラー、オリヴィア――世代を超えてパワフルな女性アーティストたちがひとつに繋がった。 *村上ひさし

6月2日に日本盤がリリースされる20年のサントラ『High School Musical: The Musical: The Series』(Walt Disney)