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それぞれの大舞台

 そういうテーマ通りの愛を感じられるような経験を重ねる一方、愛知・日本ガイシホールにおける〈EPISODE 4〉を皮切りにアリーナ公演シリーズ〈SPARKS〉も展開。この記事が出る頃には大阪城ホールでの〈EPISODE 6〉も終えたばかりのはずだ。

モモコ「久々のアリーナ規模のワンマンで、凄いみんな気合い入ってます。あと、コントも復活して、各土地に合わせたネタをやるので、前日にみんなで集まってネタ合わせをしたり(笑)。〈LiFE is COMEDY TOUR〉では冒頭の20分で毎回コントやってたので、そういう時間も懐かしいなって感じでした」

チッチ「アリーナってお客さんから観たらめっちゃ遠く感じるじゃないですか。でも今回は外周を囲むような花道とかがあるので、その距離を一気に縮められたかなって思ったし、5月の日本ガイシホールはいい意味であんまり肩に力が入ってないBiSHでライヴできてる感じがしました。一昨年の大阪城ホールの時はもっと肩に力入ってる感覚だったなって思って。この感じでちゃんと固めつつ、この先のアリーナ公演もやっていけたらいいなって思います」

 さらに6月には、アコースティック・ライヴ番組の最高峰とも言える「MTV Unplugged」に出演したのも記憶に新しい(その完全版は今回の新作に付いてくる)。

モモコ「名だたるアーティストさんがいっぱい出ている番組なので、けっこう怯んだところもあったし、リハからずっと座りながら歌うので、否応なく歌に向き合わされるみたいな状況に緊張したんですけど。でもやっぱりBiSHが7年目に入って、その節目で自分たちの曲ともう一回向き合って、みんなで大切に歌えたのは凄い良い経験になったし、BiSHに対する誇りみたいなものも改めて感じながら出させていただきました」

リンリン「私はちょうど民族楽器とかに興味を持ち出してる時に〈MTV Unplugged〉のリハが始まって。BiSHの曲にいっぱいいろんな楽器が使われてて、いろんな楽器を知れたし、私もやってみたいって思う良いきっかけになりました」

アイナ「私はメンバーの声がめちゃくちゃいっぱい聴けたので、リハからずっとそれがいちばん幸せで。〈こういう声なんだ〉〈こんな歌い方できるんだ〉とか発見がたくさんありました。バンド・メンバーもいろんな楽器をお家から持ってきてくれたりして、いっぱい編曲して、私たちよりもリハを重ねてくれて。なのでリハも本番も本当に楽しかったです」

 当日の舞台装飾はニルヴァーナの『MTV Unplugged』(93年収録)をオマージュしたもので、彼らが取り上げたデヴィッド・ボウイ“The Man Who Sold the World”もセットリストには含まれている。

チッチ「デヴィッド・ボウイの曲をニルヴァーナがカヴァーして、それをいまBiSHがカヴァーするのって、音楽が巡ってる感じがして。そうやって血みたいに流れていくもののなかにBiSHが立てたことが嬉しかったし、この曲を私たちがいま現代で歌うことに何か意味があったらいいなと思って受け止めました。カート・コバーンが亡くなるちょっと前に〈MTV Unplugged〉を収録して、〈俺の葬式やるならこういうのにしてくれ〉って言ったそうで、そのステージもオマージュしたんですけど、BiSHがそこに出て、みんな当時のグランジを意識した古着で揃えて歌って。凄く大きなことなので最初は怖かったんですけど、ちゃんとカルチャーを表現しながらライヴできたのは凄く嬉しかったし、その曲にBiSHの曲も交えながら、世界に届けられてる感じがしたのも嬉しかったですね」